経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

2月の鉱工業生産では、輸送機械、電子部品、一般機械類といった業種の生産が不調。製造業向けの部品や原材料の出荷と、設備投資に利用される資本財の出荷が悪かった。

 平成28年2月の鉱工業生産は、前月比▲6.2%低下でしたが、業種的に言うと、速報15業種中13業種で低下、2業種で上昇でした。

 

 

 その中で、特に低下寄与が高かったのが、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、そして「はん用・生産用・業務用機械工業」の3業種でした。4位の電気機械工業は、3位の「はん用・生産用・業務用機械工業」の低下寄与の半分程度の影響度合いでした。ちなみに、この3業種を除いた低下10業種の低下寄与を合計しても、輸送機械工業の低下寄与より小さくなります。
 2月は、13業種と多くの業種が前月比低下業種となりましたが、鉱工業全体の生産低下には、この3業種の影響が大きく、他の業種は薄く広く低下したという印象です。

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 輸送機械工業については、国産自動車メーカーの部品工場の生産停止に伴う計画減産の影響で普通乗用車の生産が大きく低下しており、輸送機械工業の生産全体で前月比▲10.2%低下となっています。2月の普通乗用車の生産は、前月比▲16.9%低下となりました。この影響で、シャシー・車体部品や駆動伝導・操縦装置部品などの生産も低下しました。

 

 低下寄与が2番目に大きかった電子部品・デバイス工業では、前月比▲14.7%低下と大きく低下しており、前年同月比も3か月連続のマイナスとなっています。在庫が前年同月比でここ4か月連続のマイナスとなっており、電子部品・デバイス工業では在庫調整局面となっています。

 品目的には、やはりスマートフォン向けの部品の生産が前月比で低下しています。中小型のアクティブ型液晶素子の生産は、前月比▲47.6%低下、前年同月比▲41.5%低下と前年水準から4割低下となっています。モス型半導体のメモリの生産は、前月比▲29.8%低下、前年同月比▲8.7%低下となっています。
 1月、2月の電子部品・デバイス工業の生産指数を平均すると97.5で、昨年の第1四半期の105.7からは▲7.8%の低下となり、昨年の生産水準からすると、今年の第1四半期の生産は、かなりの低下となっていることは否めません。予測調査でも、3月の電子部品・デバイス工業の生産見込みは、前月比▲3.0%低下で、かつこの見込み値も先月から下方修正されています(予測修正率▲5.7%低下)。

 

 低下寄与3番目は「はん用・生産用・業務用機械工業」で、前月比▲7.3%低下でした。1月の生産上昇寄与品目が、そのまま2月生産低下寄与品目となっており、前月比については、典型的な受注型製品の反動減でした。
 ただ、「はん用・生産用・業務用機械工業」の生産の前年同月比は、昨年の9月から6か月連続のマイナスであり、その前の昨年8月の前年同月比もプラス0.1%に留まっていました。さらに、その前の昨年7月も前年水準を下回っており、昨年後半からは前年水準との比較で調子の良くない状態が続いています。
 加えて、「はん用・生産用・業務用機械工業」の在庫では、在庫水準が前年水準を上回る状態が続いており、いまだ「意図せざる在庫積み上がり」局面にあります。在庫自体は月々の変化では低下する方向にありますので、いずれかの時期には在庫調整圧力も低下してくると思いますが、2月段階では、出荷の落ち込みが大きいこともあり在庫圧力は続いているようです。

 


 平成28年2月の鉱工業出荷は前月比▲4.6%低下と2か月ぶりの低下となりました。

 この鉱工業出荷を需要先別の分類である財別分類で見てみると、企業が事業活動の原料や部品として利用する生産財の出荷が前月比▲5.9%低下、最終需要財の出荷が前月比▲3.7%低下でした。生産財と最終需要財のウェイトは、ほぼ半々ですので、需要先別に見ると、2月は企業が原材料などとして利用する財の出荷が、相対的に出荷全体を押し下げていたことになります。国内の鉱工業生産がこれだけ大きく落ち込むと、部品や原材料に対する企業の需要が落ち込むのも当然かと思います。

 

 

 最終需要財を、企業が利用する投資財と家計が需要する消費財とで分けてみると、消費財出荷は▲4.3%低下で、特に耐久消費財の出荷(▲8.3%)が低下しています。

 これと比べると、資本財出荷の前月比▲1.9%低下が、一見、相対的に高く見えますが、これは船舶・同機関の出荷が前月比43.3%と上昇し、自動車関連以外の輸送機械工業の出荷が上昇しているためです(これは船舶の輸出が大きく増加したため)。

 実は、輸送機械を除いた資本財の出荷は前月比▲10.3%低下と1月から大きく低下しています。

 企業の日々の事業活動向けの需要や設備需要は芳しくなく、1月に久しぶりに高い水準となった耐久消費財の出荷も、2月には昨年の最低レベルである昨年5月以来の水準に下がってしまっていました。例えば、2月の民生用電子機器の出荷は前月比▲10.1%低下、民生用電気機器の出荷は前月比▲2.3%低下でした。

 非耐久消費財の出荷だけが前月比1.2%上昇となっていました。ガソリンの出荷が良かったほか、ファンデーションの出荷が良かったようです。

 

 

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◎結果概要ページ

www.meti.go.jp

 

◎図表集

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/b2010_201602refsj.pdf

 

◎データ冊子

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2010_201602sj.pdf

 

◎鉱工業指数のしくみと見方(解説スライド) 

 
◎お役立ちページ

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