経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

第3次産業活動指数は、3か月ぶりに前月比1.5%上昇だが、詳細に検討すると、昨年末からの反動増の勢いは弱く、高評価とはできない。

 平成28年1月の第3次産業活動指数総合は,季節調整済指数104.1、前月比1.5%上昇と3か月ぶりの前月比上昇となりました。

 昨年の11、12月は、2か月連続の低下であり、昨年12月の指数値102.6は、平成27年の最低レベルの水準に落ち込んでいました。そこから、今年の1月は大きく回復しているように見えます。

 

 ただ少し技術的な話となりますが、来月4月に公表する指数から、平成27年の最新のデータを反映させた季節調整に改善することが、例年の「ならい」となっています。通常、全体の動きがなだらかとなるだけで指数値の大きな変化はないのですが、試験的に試算したところ、今年の1月については、年間補正後に指数値が大きく変化することが判明しております。

 来月22日の公表の折に完全な計算結果をお届けできるのですが、仮の試算値でみると、来月の公表時点における1月の第3次産業活動指数総合の値は、おそらく103台となる見込みです。

 この場合でも、12月からの前月比はプラスでありますが、その上昇の勢いは小さくなります。

 新しい季節調整を施す前後のグラフを比較すると、昨年後半の指数グラフの動きの印象が変わるのではないかと思います。1月の第3次産業活動指数については、公表値とともに、この仮の試算値(改定値)についても視野に入れて評価する必要があると思っています。

 

 平成28年1月の第3次産業指数総合は前月比1.5%上昇ではありますが、それは、昨年11、12月の2か月連続の低下からの反動増であり、水準自体も、後方3ヵ月移動平均で均すと、けっして高くありません。加えて、正式には来月公表分からの新しい季節調整を適用すると1月の指数値は、昨年8月や10月分と比較してかなり低い水準となりそうです。

 

 そこで、1月の第3次産業活動指数の基調判断については、「一進一退ながら一部に弱さが見られる」と据え置きたいと思います。なお、この「一部の弱さ」とは、し好的個人向けサービスにおける弱さです。業種的には、生活娯楽関連サービス業、特に娯楽業の1月の弱さが目を引きます。

 

 平成28年1月の第3次産業活動指数では、11大分類業種のうち、上昇業種が8業種、低下業種が2業種、横ばい業種が1業種という結果でした。

 上昇寄与8業種のうち、上昇寄与の最も大きかった業種が「卸売業」で、それに次ぐのが「金融業、保険業」、事業者向け関連サービスでした。

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 卸売業は前月比3.7%上昇と2か月連続の前月比上昇となっており、第3次産業総合の上昇に対し、そのほぼ3分の1の寄与(影響度)を占めています。12月の卸売業の内訳業種の前月比上昇はまだら模様でしたが、1月の卸売業においては、横ばいだった電気機械器具卸売業を除いた全内訳業種において前月比が上昇しています。

 特に、上昇寄与が大きかったのが、鉱物・金属材料卸売業でした。鉱工業総供給表の1月では鉱業の輸入品供給が9.1%上昇となっています。貿易統計の輸入金額では、液化天然ガスや原油粗油、石油製品が前年同月比で大きな低下要因となっていましたが、輸入量としては大きく季節調整後の前月比で増加していました。

 これが原因となって、鉱物・金属材料卸売業が前月比4.8%と大きく上昇していました。

 

 「金融業、保険業」については、12月に大きく低下した金融商品取引業商品先物取引業が反動増で上昇したことによります。しかし、その指数値は11月のレベルに戻りきれませんでした。

 事業者向け関連サービスは、12月の第3次産業活動指数を低下させた「土木・建築サービス業」や広告業の「その他の広告」がやはり反動的に上昇したことにより、上昇となっています。

 

 ここまで見てきたように、1月の第3次産業活動指数を上昇させた業種では、卸売業を除き、12月の低迷からの反動増による部分が大きくなっています。卸売業については、12月も幅は小さいですが前月比増加で、ともに鉱物・金属材料卸売業がけん引役でした。とはいえ、11月と12月の差は、小さく今年の1月に輸入数量増加が原因となって上昇したという特徴があります。

 

 低下業種については、生活娯楽関連サービスと情報通信業のうち、生活娯楽関連サービスの低下寄与が大きくなっています。この生活娯楽関連サービスでは、最も細かい分類ではスポーツ施設提供業や自動車整備業の前月比低下が目立つのですが、この大分類全般で前月比が低下しており、家計向けのサービスビジネスが低下していました。

 小売業は3カ月ぶりに前月比上昇となり、生活娯楽関連サービスと好対照になっています。

 

 ちなみに、1月は卸小売ともに前月比上昇でした。

 第3次産業活動総合から卸売業と小売業を除外した系列の前月比は、1.1%プラスに留まり、全体の前月比1.5%上昇よりも小さい上昇幅となっていました。今年の1月は商業関係の方が好調で、いわば純粋サービスの方が勢いが弱かったことになります。

 

◎結果の概要ページ

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◎データ公表冊子

 

 

◎「第3次産業活動指数についてネットで分かること」

(うえの結果概要ページなど3次指数のホームページの使い方を説明しています)

 

◎第3次産業活動指数パンフレット(平成28年3月版)

 

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