経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

住宅建設コストはリーマンショック前の水準を大きく上回っているが、2015年の住宅建築の工事量は大きく低下

 平成27年12月の第3次産業活動指数は、前月比0.6%低下となりましたが、このサービス産業の前月比低下には、不動産業、特にマンション分譲業の低下が大きく影響していました。

 そこで、住宅を巡る各種の指標がどのような推移となっているのか昨年末までの状況を確認してみようという目的で、資料(ミニ経済分析)「住宅取引と住宅産業の動向」を作成・アップいたしました。

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 今回は、「住宅産業(住宅供給)の動向」について説明します。

 住宅取引において、マンション分譲業が大きく低下している状況の下で、住宅建築、つまり住宅供給の方がどうなっているのか、指標を確認してみました。

 建設業活動指数では、毎月「民間・建築住宅活動」指数を作成しています。この指数は、戸建住宅と集合住宅の建築工事の進捗状況を指標化しています。

 この指数を見ると、建設活動全体と同様に、2013年第4四半期に一つの山に到達します。

 これは、2013年9月が消費税率引き上げについての経過措置期間の終期でしたので、そこまでに建築契約を済ませてしまおうという「駆け込み需要」が住宅建築などに生じたからです。その契約後に実際に着工され工事が進んだため、2013年第4四半期に建設工事のピークが来るわけです。

 ただその後、建設活動全般(建築+土木)の指数の動きと、住宅建築の指数の動きが大きく離れていきます。年単位でみて、建設業全体の指数は、2013年、14年、15年とそれ程水準が下がっていませんが、住宅建築は急落しており、2015年の水準は、リーマンショック後の最も悪かった水準を下回っています。

 四半期単位で見て見ると、2014年第4四半期が「底」で、2015年は各四半期とも前期よりも上昇しているのですが、第4四半期では前期比マイナスとなっています。2014年の急落に比べ、2015年の回復は勢いが弱く、水準も余り戻りませんでした。

 

 他方、ここ数年、建設コストは、民間発注の建設工事の建設コストは上昇を続けています。民間住宅の建設コストと非住宅の建設コストは、ほぼ同じような上昇の軌跡を見せており、非住宅の建設コストの上がり方の方が多少高めのグラフとなっています。


 とはいえ、住宅の建設コストも、リーマンショックによって大きく低下した後、2014年や2015年には、2008年水準を大きく上回った状態となっていました。

 

 住宅着工を見ると、貸家の着工は伸び続けていますが、持家と分譲住宅は2013年の消費税率引き上げに関する経過措置の終期を境に、グラフの動きが低下基調に転換しています。2015年第2四半期に一時的な回復が見られましたが、その後年末に向けてまた水準が下がってしまいました。

  

 住宅建築のコストが急上昇する中で、貸家以外の住宅着工数は、2013年第3四半期や第4四半期に比べて低下しています。住宅建築の工事進捗量(活動量)も、大きく低下していたというのが、昨年末までの「住宅産業(住宅供給)の動向」だったようです。

 

◎ミニ経済分析

住宅取引と住宅産業の動向|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

 

◎スライド資料

 

◎ミニ経済分析の一覧表

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