経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

愛知県の産業集積の活動をスライスして見てみました(産業集積を「数値」で捉える)

 今回の「ミニ経済分析」では、産業集積の活動の「見える化」にチャレンジしているところですが、トヨタ自動車企業城下町に代表される愛知県の産業集積の活動を、丁度タマネギを輪切りにするように、スライスして見てみましたのでご紹介します。

 ここでいう愛知県の産業集積とは、トヨタ自動車本社を中心とする半径50km以内地域に所在する工場群を指しています。

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 産業集積の活動をスライスして見てみるとはどういうことかといいますと、中心(トヨタ自動車本社所在地)からの距離ごとに、工場の生産活動を数値化 して地域の特徴をみるというもので、より具体的には、任意の地理空間上の点を中心として、中心からの距離ごとに事業所の生産を集計した「地理空間別鉱工業 生産指数(地理空間別IIP)」を作成し、この動きを見ることで産業集積の動的な生産活動を捉えようとしています。

 

 では、地理 空間別IIPでスライスしてみた産業集積はどのような形をしているでしょうか。

 まずは、中心からの距離別に生産の特色を見てみると、さすがはトヨタ自動車企業城下町ということで、中心に近いほど生産に占める輸送機械工業の比重が大きいことが分かります。

 また、少し専門的な話をしますが、ある地域の生産が 特定産業にどれだけ集中しているかを表す指標としてハーシュマン・ハーフィンダール指数(HHI)というものがあります。HHIは、ある地域の産業全体に 占める各産業のシェア(ここでは付加価値シェア)の二乗を合計した数値になりますが、HHIが高いほど特定産業に集中しており、逆に低いほど多様な産業と いうことになります。

 

 このHHIで愛知県の産業集積を見てみると、中心から遠ざかるほど低くなっているのが分かります。

 

  次に中心からの距離別に生産の状況を見てみましょう。

 まず、皆さんはどのような動きを想像されたでしょうか。もし、愛知県のこの産業集積が自動車産業のみで形 成されており、地理的な制約が何ら存在しないとしたら、中心に自動車の完成車工場、完成車工場を取り囲むように部品工場、その周りを部品の材料を製造して いる工場が立地しているだろうと考えるのが自然でしょう。そして、中心付近の工場の生産も、周辺の工場の生産も同じ生産ライン上にあるわけですから、同じ ような生産の動きになると考えられます。

 

 しかし、実際の生産の状況を見てみると、距離ごとの生産は同期していないことが分かります。

 ただ し、距離ごとの生産が完全に個々独立な動きをしているかというとそういうわけではなく、中心に近くなるほど、中心地域の生産との相関が高く、逆に中心から 遠ざかるほど全国の生産との相関が高い傾向にあることが分かりました。

 


 以上で見てきたように、愛知県の産業集積をスライスして見てみると、単純に自動車産業の集積が形成されているというだけではなく、中心から遠ざかるほど産業が多様になり、全国の生産との相関が高くなっているなど、多様な広がりを持っていることが分かりました。

 

  この分析のコンセプトについては、こちらの記事を

keizaikaisekiroom.hatenablog.com

 

  もう一つの「見える化」である「画像で捉える」については、こちらの記事を keizaikaisekiroom.hatenablog.com

ご覧ください。

 

◎スライド資料

 

 

◎ミニ経済分析のページ

産業集積の活動を可視化する ~愛知県西三河周辺を例として~ ―地域別生産指数から地理空間別生産指数へ―|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

◎ミニ経済分析の一覧表

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