経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年1月の鉱工業生産は前月比3.7%上昇だが、それほど良い結果とは評価できない。

 平成28年1月の「生産」は,季節調整済指数99.8,前月比3.7%上昇と3か月ぶりの前月比上昇となりました。この指数値は、平成27年平均の指数値98.1と比べると大分高い水準になっています。確かに、昨年と同様に1月に生産が急上昇するという現象が今年もみられました。しかし、1月の前年同月比は、昨年1月の鉱工業生産のレベルが非常に高かったこともあって、▲3.8%低下となっており、前年水準を下回っています。

 

 先月1月に実施した生産予測調査では、1月の生産前月比見込みは7.6%上昇ということになっていました。この生産予測調査の見込み値では、生産量が過大に見込まれている傾向があることは毎回説明しております。そこで、この過大見込み分を統計的に処理して、突発的事象によらない傾向的な過大見込み分を抽出し、それを差し引いて、生産前月比を試算することとしました。今回は、2月調査の結果を補正した資料を配付しています。

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資料:http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/rev_forecast.pdf

 

 1月調査を用いて試算した値は、前月比最小で3.1%、最大で5.2%、最も可能性の高かった最頻値は4.1%上昇というものでした。予測誤差を含んだ統計調査結果そのままのものよりは、試算値の方が実績に近づいたことがお分かりいただけるかと思います。

 また、1月速報の鉱工業生産の前月比実績は3.7%ですので、最も可能性の高かった値よりは、実際の前月比が若干小さかったということになります。これは、1月初旬の生産計画を立てていた時期以降に、世界経済に対する停滞感が広まり、生産がさらに抑制されたという解釈することが可能かと思います。 

 2月の予測修正率▲4.0%と大きくなっており、これと1月中の世界経済の停滞観測に対する対応として整合的となっています。

 いずれにせよ、昨年一年間の最低レベルに落ち込んだ昨年12月の鉱工業生産から、今年の1月に大きく反転上昇がみられました。

 昨年後半からの鉱工業生産では、上昇すると低下、低下が続くと上昇するという不安定な動きが続いています。

 

 1月の「出荷」は、季節調整済指数97.9、前月比3.4%上昇と、生産同様3か月ぶりの上昇となりました。やはり、前年同月比が▲5.9%低下となっており、昨年1月の水準からは大分低い水準となっています。

 

 1月の「在庫」については、季節調整済指数112.0、前月比▲0.3%低下と、3か月ぶりに低下となりました。ただ、在庫の前年同月比は0.2%上昇となっており、昨年の1月の水準よりも高くなっています。

 1月末の在庫循環の状況を見てみると、昨年第4四半期の状況から左に動いています。在庫循環が進捗すると循環図上の点が反時計回りに動くという通例のパターンからすると、在庫調整が進捗したとは言いにくいところです。

 鉱工業の在庫調整の進捗がはかばかしくない理由は、鉄鋼や化学、パルプ・紙・紙加工品工業といった素材型業種の在庫の水準がなかなか下がらないことです。1月でみても、素材型業種の前月比0.9%上昇、前年同月比2.9%上昇となっています。他方、機械工業中心の加工型業種における在庫は、順調に低下しており、1月では前月比▲3.4%低下、前年同月比▲2.7%低下でした。このように素材の在庫が、鉱工業全体の在庫調整の進捗を押しとどめています。 

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 さらに、生産予測調査で生産の先行きをみると、平成28年2月の見込み値は、予測調査の結果そのものでは前月比▲5.2%低下となります。この結果に、傾向的な過大見込みについての修正をかけたものが、資料の表面に記載されていますが、この修正をかけた試算では、幅としては▲7.3~▲5.5%低下で、最も可能性の高い最頻値は▲6.4%低下となります。

 このペースで行けば、2月の生産実績は、昨年12月のレベルを下回ることになります(1月の上昇分は2月の低下で解消されます)。この2月の見込みには、自動車メーカーの計画減産分が織り込まれていますので、その分を差し引く必要はあるものの、2月の生産の勢いは余り強くありません。

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◎結果の概要

www.meti.go.jp

 

◎データ冊子

 

◎図表集

 

◎しくみと見方