経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

「外国人旅行者」が国内業界に与えるインパクトはどの程度か? ~2020年目標、外国人旅行者3,000万人達成でどうなる~

 今回は、第3次産業活動指数などを用いて、昨今話題に事欠かない「訪日外国人の旅行消費」に関連する業種の動きをみていきます。
 下のグラフは、「訪日外国人の旅行消費額」と、この旅行消費の内訳費目(交通費、買物代、宿泊料金、飲食費、娯楽サービス費)にあたる第3次産業活動指数の内訳業種を合計した「旅行消費関連指数」です。

 

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 「訪日外国人の旅行消費額」は、順調に増え続けており、東日本大震災の翌年に1兆円を超え、その後わずか2年で約2倍の2兆円超、3年後の平成27年には約3.5兆円となりました。一方、「旅行消費関連指数」は平成24年から2年連続で上昇したものの、平成26年から2年連続前年比低下となりました。実は、この両者の動きは、足下で連動していません。
 そこで、「訪日外国人の消費項目」に対応する国内売上額に占める「日本居住者」と「訪日外国人」の割合をみると、平成23年(※1)は「日本居住者99.6%:訪日外国人0.4%」、平成25年(※2)は「日本居住者99.3%:訪日外国人0.7%」でした。訪日外国人の消費割合は増えているとはいえ、1%に満たない程度です。

 ※1平成23年の国内売上高は「平成24年経済センサス活動調査」を使用。
 ※2平成25年は「平成26年商業統計」及び「サービス動向調査」を用いた推計値を使用。

 

 しかし、訪日外国人の消費割合が顕著に増えた業種があります。それは、「宿泊業」です。

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 上のグラフは、宿泊業の売上高(平成25年、32年推計値)に占める「日本居住者」と「訪日外国人」の消費割合です。平成23年は、東日本大震災による訪日外国人数激減の年でしたが、訪日外国人の消費割合は6.1%もあり、2年後の平成25年には、約2倍の11.1%にまで増えました。

 それでは、政府が2020年(平成32年)の目標としている訪日外国人数3,000万人を達成したときには、どうなっているでしょうか。
 内閣府公表の中長期経済成長率を用いて試算すると、①経済再生ケースでは「日本居住者71.2%:訪日外国人28.8%」、②ベースラインケースでは「日本人居住者69.9%:訪日外国人30.1%」となり、実に訪日外国人消費が3割にまで増加する見込みです。
日本国内に生活拠点がない訪日外国人は、日本では宿泊業に頼るため、インバウンドの効果は、国内消費全体への影響はともかく、宿泊業には大きく現れるということなのでしょう。

 

<試算方法について、こちらをご覧ください>

http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/pdf/20160205hitokoto.pdf

 

◎ひと言解説の一覧表

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