経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

業種的な広がりには欠けるが、はん用・生産用・業務用機械工業、輸送機械工業の増産にけん引された10月の鉱工業生産・出荷。

 10月の鉱工業生産・出荷の業種別の動向を見てみます。


 10月の生産では、15業種のうち、上昇業種7業種、低下業種7業種、横ばい1業種となっています。出荷については、上昇業種11業種、低下業種4業種でした。

 業種の動向を見ても、出荷の前月比上昇業種の数に比べて、生産の上昇業種の数が少ないことから、10月は出荷の勢いが強い割には、生産の増産がそれ程でもないという評価ができます。 

 

 10月の生産上昇には、「はん用・生産用・業務用機械工業」、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業といった業種が寄与していますが、特に前2者の「はん用・生産用・業務用機械工業」と輸送機械工業の寄与が大きくなっています。

 

 「はん用・生産用・業務用機械工業」では、半導体製造装置や一般用蒸気タービンの生産が好調でした。半導体製造装置は、10月は、国内向けも輸出向けも9月より多く出荷されています。輸出については、韓国向けの外、米国向けも前月比で大きく増加しています。一般用蒸気タービンは、発電施設向けですが、10月は輸出に支えられていました。10月に特に伸びた仕向け先は、サウジアラビアなどの中東地域です。
 ただ、「はん用・生産用・業務用機械工業」の11月の予測調査の結果では、10月の生産実績についての予測実現率がマイナス4.6%となっており、10月の生産見込みから実績では5%近く落ち込んでいます。

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 高水準の在庫水準を抑制するために生産を調整したことや、やはり中国等海外からの受注減が生じていることから、10月分の生産計画を下方修正したとのことです。 

 元々、10月の生産予定には、9月納期の客先都合による後ろ倒し分が含まれていたにもかかわらず、生産見込みを下回っているということなので、「はん用・生産用・業務用機械工業」の生産の前月比5.8%上昇については、多少割り引く必要があります。

 

 輸送機械工業では、普通乗用車やシャシー・車体部品といった乗用車関連、そして、鉄道車両の生産(新幹線車両の生産)も好調でした。普通乗用車では、輸出も増えてはいましたが、国内向け出荷の上昇が大きかったようです。輸送機械工業については、10月実績の方が10月見込みより多少増えていたという結果になっているので、着実に見込み量の生産を進めていたということかと思います。

 

「はん用・生産用・業務用機械工業」も輸送機械工業も、10月は国内向け出荷が好調だったようであり、内需に支えられた生産という見方ができるかと思います。

 

 また、プラスチック製品工業の機械器具部品やフィルム・シートは、自動車向けが多いとのことですし、電気機械工業では、自動車用電気照明器具の生産が好調ということで、自動車生産の好調がこういった分野にも波及していることが分かります。

 

<<参考:自動車産業他の産業への波及効果を分析したミニ経済分析>>

 

◎ 産業連関表から読み解く乗用車産業 ~軽乗用車の需要減と生産波及~|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

  なお、生産上昇寄与が3位の電子部品・デバイス工業では、輸出向け出荷は低調で、国内向け出荷に支えられていたようです。

 生産上昇品目についても、スマホ向けの常連である中小型の液晶素子の生産は増えていますが、必ずしもスマホ向けではないモス型半導体マイコン(マイクロ・コントローラー)、線形半導体集積回路といった家電製品、車や機械類に搭載される電子部品の生産上昇寄与が大きく、10月の電子部品・デバイス工業の上昇はスマホということではないようです。

 逆に、スマホ向けの常連であったモス型半導体のメモリは生産・出荷ともに大きく低下し、そのため「集積回路」全体としては、生産が前月比で低下となっています。

 

 10月の業種的な動きをまとめれば、輸出に支えられた個別品目もありますが、国内向けが好調だった「はん用・生産用・業務用機械工業」や輸送機械工業、そして輸出は余り良くありませんでしたが、必ずしもスマホ向けに限られない電子部品類が好調だった電子部品・デバイス工業といった加工型業種に先導された生産・出荷であったといえるかと思います。

 

 

鉱工業指数(鉱工業生産・出荷・在庫指数、製造工業生産能力・稼働率指数、製造工業生産予測指数)|製造業の動きからみる日本の景気|経済産業省

 

◎データ冊子

 

◎図表集

 

英語版図表集

 

◎「しくみと見方」