経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

リーマンショック以降のGDP変動に最も寄与しているのは、小売業を除いた個人向けサービス

 経済解析室で作成している月次の産業統計指標である、第3次産業活動指数と鉱工業指数を用いて、四半期ごとに公表されるGDPの値を再現できるという実験を試みたところ、良好な結果を得ることができました。

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 この結果を用いてGDPの変動はどのような産業の変動によって引き起こされているのかを確認してみました。
 すると、小売業を除いた対個人サービスの活動指数の回帰式における係数が最も大きくなりました。係数の絶対値の合計に対する比率では、33%程を占めることになります。これに次ぐのが、非耐久消費財の国内向け総供給指数の係数で、こちらは係数の絶対合計の28%程を占めることになります。つまり、この家計消費の2つのコンポーネントの影響度合いの合計が5割を超えています。

 これに対し、耐久消費財の国内向け総供給指数や資本財の総供給指数の影響度合いは限定的で、建設財の総供給指数係数の方が明らかに高くなっています。

 つまり、この試算結果からは、ストック関連産業の中で、GDP変動への影響が大きいのは、建設関連産業であり、設備投資関連財産業や耐久消費財関連産業の影響は相対的に限定的ということになります。輸出も、GDP変動には一定の効果を持っています。 

 

 平成21年、つまりいわゆるリーマンショック後のGDP変動に対する影響の大きい産業をグルーピングすると、純粋な個人向けサービス産業、非耐久消費財関連産業が第1グループ、そして建設関連産業、輸出関連産業(特に生産財関連産業)が第2グループということになります。

 

 では、これらの産業の実際の変動の大きさとその影響度を考慮して、平成22年1-3月期以降のGDPを動かしていた項目が何だったのかを観ていきたいと思います。
 下記のグラフの赤い棒グラフの部分が、平成22年1-3月期との比較での対個人サービスの伸び率寄与を表しています。当然ではありますが、平成26年の4-6月期や7-9月期は、非耐久消費財の寄与もマイナスとなっています(平成22年1-3月期よりも指数値が下がったということ)。

 また、耐久消費財の寄与は、ほとんどの期間でマイナス寄与となっていることにも目が行きます。

 

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 対個人サービスは、さらに「非選択」と「し好的」に分けることができます。「非選択的」とは生活必需的サービスで、医療・福祉やエネルギー関連などが含まれます。「し好的」は、そのサービスを享受するかどうかについて選択が働くサービスで、飲食サービスや娯楽関係が含まれます。

 この分類で、GDPへの影響を見てみると、圧倒的に「非選択的個人向けサービス」の寄与が大きくなっています。つまり、平成22年1-3月期との比較で、「非選択的個人サービス」の供給量が増えているということです。ちなみに、第3次産業活動指数は、供給側の活動量を数量ベースで捉えることを原則としているので、これらには価格の影響はありません(生活に要する経費が物価上昇で多くなっているということを表してはいません)。

 

 いずれにせよ、GDPの変化をみる際には、鉱工業生産の動向のみならず、個人向けサービスの動向を見極める必要があるようです。

 

 

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