経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

「逆走している」在庫循環図ですが、一昨年比で見てみると

 経済産業省の在庫循環図は、縦軸に鉱工業指数の在庫指数の前年比を、横軸に同生産指数の前年比をプロットしたものです。

 この在庫循環図では、①意図せざる在庫減局面(景気拡張期に入ると、需要の増加が企業予測を上回り、増産しても需要に追いつか ず、一時的に在庫が減少する。)→②在庫積み増し局面(景気拡張期が長くなってくると、企業は将来の更なる需要増に備えて増産し、在庫を積極的に積み増そ うとする。)→③在庫積み上がり局面(景気の山を越して後退期に入ると、需要が企業予測を下回り、需要の減少速度に減産が追いつかず、在庫が積み上がって しまう。)→④在庫調整局面(景気後退期が続くと、企業は更に減産を進め、積み上がった在庫を減らそうとする。)、という動きになります。

 つまり、在庫循環の進捗は、循環図上で反時計回りの動きとなって表れます。

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 左下の図は我が国製造業の平成25年以降の在庫循環図です。25年第Ⅰ四半期から26年中は、在庫循環は想定通りに反時計回りで動いていました。

 しかし、27年に入ってこの動きに変調を来し、グラフは右下の方に動くようになりました。本来の在庫循環に沿った動きであれ ば、左下の方に動くべきところ、まさに「逆走」している状態です。このような在庫循環図の「逆走」は、23年の東日本大震災発生後にも見られたところで す。

 この背景には、26年4月に実施された消費税率引上げを挟んだ、鉱工業活動の特殊な動きがあります。26年第Ⅰ四半期は、生 産・出荷ともに旺盛で、生産水準が高く、在庫水準は非常に低くなっていました。消費税率引上げ後は、その逆に、生産が停滞し、在庫は急増していくこととな ります。

 このような特殊な26年の生産、在庫の動きとの対比となるため、27年に入っての在庫循環の推移が、「逆走」の様相となってしまっています。

 そこで、27年分をいわば「平年」である25年と比較してみた在庫循環図が右下の図になります。この図では、起点は異なりますが、動きとしては、27年中の在庫循環は想定通りの「反時計回り」で推移することとなります。

 通常通りの作図方法で行うと、27年に入っての在庫調整の進展が非常に不可思議に映りますが、平年比較での作図に変更してみる と、想定通りの動きが表れます。この図を見ると、27年も生産調整が進められている形となりますが、足下の27年第Ⅲ四半期の在庫については、26年比で 見ても25年比で見てもプラスとなっており、在庫水準を引き下げるレベルにはなっていないため、今後の在庫調整の進展を注意深く見守っていきたいと思いま す。

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◎鉱工業指数

鉱工業指数(鉱工業生産・出荷・在庫指数、製造工業生産能力・稼働率指数、製造工業生産予測指数)|製造業の動きからみる日本の景気|経済産業省

 

◎鉱工業指数図表集

 

◎鉱工業指数 しくみと見方