経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

化粧品や電子部品の生産が好調で9月の生産は上昇。乗用車の生産は前月比マイナスだが、出荷はプラスに。

 9月の鉱工業生産の業種別の動向を見てみます。
 9月の生産では、15業種のうち、上昇業種8業種、低下業種7業種となっています。出荷については、上昇業種8業種、低下業種6業種、横ばい業種1業種でした。

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 9月の鉱工業生産を動かした業種、品目の表をみると、9月の上昇には、化学工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業などの上昇寄与が大きくなっています。この表にはありませんせんが、輸送機械工業の寄与も必ずしも低い訳ではありません。

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 化学工業では、化粧品の生産上昇寄与が大きくなっています。化粧品の生産は、6月以降4カ月連続の前月比上昇で、9月は前月比11.2%上昇と大きく上昇しています。いわゆる爆買いの影響もあるでしょうし、家計の非耐久財消費支出が緩んでいる影響もあると思われます。さらに、全体に占めるウェイトは小さいものの、今年に入って化粧品輸出が高水準(指数で150を超えるレベル)となっており、この影響もあって、ここの所、生産が好調です。9月の生産前月比が大きく伸びているのは、8月の生産が前月比プラスとはいえ、0.5%とこの4カ月の中では特に伸びが小さかったことから、その反動が出ているものと思われます。

 次の生産上昇への寄与が大きかったのは、電子部品・デバイス工業でした。やはりスマホ向け部品類の生産、出荷が出ました。昨年は、8月に生産の増加が始まっていましたが、今年は9月が着火点となったようです。

 さて、9月の鉱工業生産の上昇寄与4番目となった輸送機械工業です。

 9月の輸送機械工業の生産は、前月比1.3%上昇となりましたが、この生産の上昇要因となったのは、自動車エンジンや駆動装置などの自動車部品で、この分類の生産前月比は2.0%上昇でした。実は、乗用車の生産自体は、前月比▲1.0%低下でした。

 9月は、完成車の生産は抑制(そのため、乗用車の在庫は前月比▲9.5%低下、前年同月比▲26.0%低下と、局面的には、「在庫調整」を過ぎて「意図せざる在庫減」になっている)されていましたが、部品の生産は進めていたことになります。

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 出荷面では、乗用車の出荷は前月比1.2%上昇ですが、9月分の商業動態統計速報では自動車小売業名目販売額の前月比は▲3.3%低下ですし、国内の登録車、軽乗用車の販売台数も振るっていません。9月の乗用車の出荷を支えたのは輸出と思われます。9月の国内販売は余り良くありませんでしたが、そこを輸出が補って、完成車の出荷は前月比プラスでした。

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 9月の生産は抑制されており、乗用車の在庫調整はかなり進んだという感じです。他方、9月の自動車部品の生産は好調で、10月のモデルチェンジ期に備えて、部品調達は盛んであったということのようです。

 

 翻って、9月の生産低下業種ですが、これは「はん用・生産用・業務用機械工業」につきるという感じです。生産低下寄与2位業種は窯業・土石製品工業ですが、「はん用・生産用・業務用機械工業」の低下寄与は、この窯業・土石製品工業の10倍以上なので、9月の生産低下寄与は、ダントツに「はん用・生産用・業務用機械工業」です。f:id:keizaikaisekiroom:20151030062308p:plain

 「はん用・生産用・業務用機械工業」の生産を低下させているのは、半導体製造装置とショベル系掘削機械などです。半導体製造装置は、今年の前半台湾、韓国向けに多く出ていたり、国内の電子部品・デバイス工業の生産能力の増強もあったり好調でしたが、これらの動きが一服してきているようです。
 ショベル系掘削機械については、毎月のことですがオフロード規制の経過期間終了により「在庫取り崩し」期に入っていますし、9月は出荷も悪くなっています(土木建設機械の在庫は前月比1.7%上昇)。

 

 9月の業種的な動きをまとめれば、化粧品類が引き続き好調な化学工業、昨年とはひと月ずれましたがスマホ関係部品の生産が大きく増加した電子部品・デバイス工業、昨年後半から今年上期の生産好調から多少停滞モードに入っている「はん用・生産用・業務用機械工業」となり、さらに輸出を軸に出荷が戻ったが、生産を抑制して在庫調整を進めた完成車と、輸出も良く、10月以降の生産向けに調達が進んだため自動車部品の生産が好調だった輸送機械工業ということになります(輸送機械工業は、鋼船の輸出が低下したので、出荷全体としては低下)。

 

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