経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

対事業所/対個人サービスの推移を長期的に見てみると、対事業所サービスが、第3次産業活動指数の長期的な回復(リーマンショック等の前、第14景気循環の景気拡大期の水準への回帰)に対する「重石」となっていることが分かる。

 第3次産業活動指数の対事業所/対個人のサービスの別について、見ていきます。

 


 7月の「広義対個人サービス」指数は、指数値104.9、前月比0.1%上昇と3か月連続の上昇でした。同じく「広義対事業所サービス」指数は、指数値101.3、前月比0.2%上昇と2か月連続の上昇でした。 

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 第3次産業総合の前月比0.2%上昇に対する寄与では、7月は対事業所サービスの方が大きくなっています(寄与度:対個人0.05%ポイント、対事業所0.10%ポイント)。

 対事業所サービスの指数は、今年の1、2月の水準が高かったのですが、3月と5月に大きく低下し、7月の水準は1,2月の水準からは1%以上、下がったままで、2か月連続前月比上昇とは言え、上昇傾向に復帰したと断言できる状態ではありません。

 ただ、平成25年の水準が101.3ですので、7月の指数値と同じで、単月でみて消費増税前の水準に復しているとは言える状態です。

 

 対個人サービスの指数は、今年1月の105.5から3か月連続で前月比低下、その後5、6、7月と3か月連続で前月比上昇ですが、上昇幅の累計は低下幅の累計を下回っており、現在の上昇傾向は緩やかなものに留まっています。

 とはいえ、指数値104.9は、増税前の平成25年の104.2を上回っており、消費増税前の水準に戻っていると評価してよいと思います。
 
 さて、新基準の指数で改めて、対個人と他事業所の指数の長期的動きを比較すると、対個人と対事業所で大きな動きの違いを見せていることが分かります。

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 対個人サービスは、リーマンショックが発生した時期を含む景気後退局面であった時期においても、ピークとなった平成20年2月の指数98.8から小さく低下したのみでした。その後は東日本大震災と昨年の消費増税後の低下を挟みつつ、着実に活動レベルを上昇させてきています。

 その結果、足元では、新基準でみた平成20年の最高値、つまりリーマンショック前の新基準でのピーク値98.8を大きく上回る水準に到達しています。
 

 他方、対事業所サービスは、第14景気循環の景気後退局における落ち込みが非常に大きく、ピークの113.8(平成20年3月)からボトムの98.5(平成21年12月)まで1割以上(13.4%)低下しています。

 また、指数の回復の勢いが、東日本大震災以降、それ以前よりも緩やかになっており、そこに加えて、昨年4月の増税で落ち込んでいます。

 このため、足元の指数水準は、到底第14景気循環の「山」近辺の平成20年の水準には遠く及ばない状態です(リーマンショックの生じるころで、107前後)。

 

 増税後の回復度合いでも、対個人と対事業所で差がありますが、リーマンショック後の6年間の動きでは、その差のスケールははるかに大きいものでした。対個人サービスの活動レベルがこの間大きく伸びていたこととの対比で、対事業所サービスの活動レベルが、平成20年、2008年のレベルとはかけ離れて低い、つまりリーマンショックの落ち込みから戻っていない状況が明瞭に表れています。
 対事業所サービスが生み出す付加価値の全産業活動(鉱工業、建設業、サービスビジネス)に占めるウェイトは3割以上あり、対個人サービスよりも少し大きくなっています。鉱工業のウェイトは2割程度ですので、この対事業所サービスが、リーマンショック前の水準からみて、1割近く落ち込んでいるというのは、結構重たい「重石」だなと、新基準の指数をみて改めて思います。

 

◎結果の概要

最新結果の概要|第3次産業活動指数|経済産業省

 

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