経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

個人消費については耐久消費財が非常に弱い。全体的には、企業の活動が少し停滞した4-6月期(第2四半期の産業活動のまとめ)

 平成27年6月の全産業活動指数は、2か月ぶりの前月比上昇ですが、第2四半期は4四半期ぶりの前期比低下となりました。勿論、逆に四半期の前期比は低下だが、6月の前月比は上昇ということで、方向感として、2月のピークからの低下傾向の下げ止まり感があるという評価も可能かもしれません。

 第2四半期の全産業活動の低下をまねいているのは、輸出向けの活動(輸出向け製品の生産・出荷及び卸売業)を含む、B to Bの産業活動の活動レベルの一服感です。
 第3次産業活動指数における「広義対事業所サービス」は、前期比▲0.9%低下と4四半期ぶりに前期比低下となりました。4四半期ぶりということ自体は、第3次産業活動指数全体と同じなのですが、昨年後半の第3次産業活動指数の回復を先導したのは、この対事業所サービスで、対個人向けサービスの回復がもたつく分を補っていました。

 しかし、今年の3月に比較的な前月比低下幅(▲1.9%)を見せた後、5月に前月比低下となって、この第2四半期は低い水準での動きとなりました。
 この間、対個人サービスはほぼ横ばいでの推移となり、対事業所サービスの下げを補う動きとはなりませんでした。

 
 このような動きの背景には、鉱工業生産・出荷の動きがあります。
 第2四半期の輸出向け出荷は、前期比3.6%低下と5四半期ぶりに前期比低下となりました。国内向け出荷も前月比2.4%低下となっています。輸出向け出荷と国内向け出荷の両方が揃って前月比で低下するのも久しぶりのこととなり、鉱工業品のメーカー出荷の勢いが鈍っていました。

 このため、鉱工業生産も低下しました。また、鉱工業生産の低下幅が出荷の低下幅に比べて小さく、第2四半期末では、さらに在庫が積み上がってしまっていることが気になるところです。

 

 個人消費について言えば、非耐久消費財の国内向け出荷は前月比2.2%上昇と4期連続の前月比上昇で、その上昇幅も大きくなっています。駆け込み需要が顕著になる前の一昨年第4半期の水準に回復しており、文字通りの「増税前の水準」ではありませんが、特需のない平常時の水準に戻っています。
 水準が回復してこないのは、耐久消費財の国内出荷で、第2四半期の指数値は、増税直後である昨年の第2四半期の値88.1を大きく下回る77.9となっています。このため機械器具小売業の前期比▲5.0%低下と悪い状態です(自動車小売業は、前月比4.1%上昇)。
 「生活関連業、娯楽業」の前期比0.3%上昇や「宿泊業、飲食サービス業」の前期比1.2%上昇のように、個人のサービス消費自体は、この第2四半期不調であった訳ではありませんが、家電製品を中心とする耐久消費財の購買行動は抑制されていたようです。

 非耐久消費財の国内出荷が戻っていること、飲食料品小売業は勿論のこと、織物・衣服・身の回り品小売業も前期比3.0%上昇していることからして、個人消費という面では、耐久消費財の低迷が全体の足を引っ張っていることになります。

 

 他方、建設業活動指数については、資本財等の輸出低下と耐久消費財の低迷による影響を受けた鉱工業と対事業者所サービスビジネスの低下の影響(対個人寄与▲0.13、対事業所寄与▲0.52)を受けた第3次産業活動とは異なり、住宅建築、企業発注の建設活動、公共事業の3分野揃っての前期比上昇となり、前期比2.8%上昇となりました。

 5月に前月比が大きく低下したので、四半期での上昇寄与は企業発注の建設活動に譲りましたが、住宅建築活動は2四半期連続の前期比上昇です。
 耐久消費財の家計の購入は、住宅建築と連動する面も多いと言われますので、この住宅建築の「回復」を期待して見ていきたいところです。

 

 全体では前期比▲3.6%低下となっている輸出については、この第2四半期における輸出向け出荷の低下が目立つのは、輸送機械工業の前期比▲5.1%低下、情報通信機械工業▲11.0%低下、電気機械工業▲8.3%低下といったところです。

 輸送機械工業では出荷海外比率が45%を超え、広義の電気機械工業の出荷海外比率も3割を超えています。これら第2四半期に輸出を低下させた業種については、海外における需要の動向もさることながら、国内回帰の動向によるところも大きいと思います。
 毎月の製造工業生産能力指数の動きを見ていると、機械工業は昨年後半から生産能力を継続的に上昇させています。調査にご協力いただいている事業所のお話の一部では、海外の事業所をたたんで日本の工場での生産に切り替えるといったお話も出てきています。

 海外の現地法人の日本向けの売上げについては、今年の第1四半期には前年同期比▲5.2%低下となっており、2期連続で前年同期比を下げています。同じく「日本以外の第3国」向けの売上げも、前年同期比▲6.9%低下しています。
 勿論、今年の第1四半期は昨年の第1四半期に比べて国内市場への財供給自体が低下しています(鉱工業総供給指数、昨年Ⅰ:106.4、今年Ⅰ:102.5、輸入品供給指数、昨年Ⅰ:119.2、今年Ⅰ:117.4)。とすれば、全体のパイが縮んでいるのであって、特需的状態にあった昨年の第1四半期の需給ギャップを海外生産品の日本への出荷で埋めた分が剥落したということの影響が大きいものと思われます。

 よって、この海外現地法人の日本向け売上げの前年同期比低下のみをもって、国内回帰であると論じることには慎重であるべきですが、いずれにせよ、海外生産から国内生産への「振り替え」の動きについては、引き続き注視し、その動きが輸出の勢いを増やす方向に作用するのかどうかが、第3四半期以降の輸出の動きに影響を及ぼすものと思います。

 

 平成27年第2四半期の全産業活動指数は、前期比低下となりました。第2四半期の前期比低下を演出したのは、今年1月の高すぎる産業活動と、5月の低すぎる産業活動でした。
とはいえ、6月単月では、鉱工業生産も第3次産業ともに前月比で上昇となりました。輸出向け出荷も6月には前月比上昇に戻り、国内向け出荷については、6月に5か月ぶりに前月比上昇となっています。7月実施の製造工業予測調査では、7月、8月の生産増加が予測されているところです。
 建設業活動指数は、5,6月と2か月連続の低下ではありますが、4月に大きく上昇した水準を維持しています。
 鉱工業の生産増加や建設業の活動レベルの維持とが合わさって、対事業所サービスが上昇してくれていることを期待したいと思います。

 

◎ミニ経済分析

http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini029j.pdf

 

◎全産業活動指数

 

◎第3次産業活動指数

 

◎6月の第3次産業と鉱工業の概況

 

 

keizaikaisekiroom.hatenablog.com

 

 

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