経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

百貨店販売額の動きには地域差があり、その背景には、装身具を含む衣料品の売れ行きに地域ごとの差がついていることがある。

 百貨店販売額の最近の動きの背景に、資産効果と外国人観光客の増加があることを見てきました。 

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 次に、百貨店販売額の地域差、特に、東京、大阪とそれ以外の全国の動きの差異について検討してみたいと思います。

 まず、商業動態統計の名目販売額の指数(平成25年=100、季節調整済の3か月後方移動平均値)で、百貨店販売額の動向を地域別に見てみます。

 すると、東京、大阪は回復傾向で推移しており、足下では消費税率引上げ前年の平成25年の水準を明らかに上回っていることが分かります。

 一方、全国(除.東京、大阪)の回復の勢いは弱く、平成25年の水準を、僅かにしか上回っていないことも分かります(消費増税による名目販売額のかさ上げ分ほども、増加していません)。

 

 貴金属や宝石等を含む百貨店の商品分類「その他」は、資産効果インバウンド効果等を背景に、全国的に回復傾向で推移しており、足下で平成25年の水準を上回っています。

 参考までに、日本百貨店協会の百貨店売上高で「美術・宝飾・貴金属」のみの動向を地域別に見てみると、 東京23区、大阪市と全国(除.東京23区、大阪市)の間に大きな差は見られず、全国的に回復傾向で推移しています。

 「その他」販売額では、確かに、東京や大阪における推移が、全国のものよりも勢いがありますが、とはいえ、東京、大阪を除いた地域の販売額も好調といえる状況です。

 

 そもそも、百貨店販売額に占める「美術・宝飾・貴金属」の割合は約5%と小さく、地域的な販売動向の差異をあまりないことから、百貨店販売額の東京、大阪とそれら以外の全国との顕著な動きを生み出している商品が、「美術・宝飾・貴金属」(あるいは、これを含む「その他」分類)であるとは言えないようです。

 

 そこで、百貨店販売額の約5割を占める「衣料品」販売額の動きを見てみます。

 百貨店における「衣料品」販売額は、東京、大阪では回復傾向で推移していますが、実は東京、大阪を除いた全国の値を計算してみると、消費税率引上げ前の平成25年の水準を下回っていることが分かりました。
 資産効果インバウンド効果等を背景に、高級ブランド品が売れており、それら商品を多く取り扱う東京、大阪が売上を伸ばしていることが推察されるます。
 一方、高級ブランド品以外の「衣料品」商品は伸び悩んでおり、それら商品を販売の核としている東京、大阪を除く全国の百貨店の「衣料品」販売額、ひいては商品全体の販売額の回復が遅れていることが推察される(いわゆるボリュームゾーンの衣料品の販売額は、必ずしも順調には回復していないということになります)。
 参考までに、相対的に日常性の高いものと思われるスーパーの「衣料品」販売額の動向を見てみると、東京、大阪、全国(除.東京、大阪)すべてにおける販売額が、平成25年の水準を下回っていることも確認できました。 

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 近時の百貨店販売額の「回復」には、地域差があることが確認され、その背景には、装身具を含む衣料品、それも日常的なボリュームゾーンの商品というよりは、高級ブランド品などの高額衣料品の販売動向の地域差があるものと示唆されます。

 

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