経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

被災地の輸送機械工業の一事業所当たり、従業員一人当たり出荷額(生産性)は、震災前に比べて大きく上昇していた。

被災地域において、東日本大震災後の工業出荷が好調な業種と不調な業種の生産推移について見てきました。

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  次に、これら変化の大きかった業種について、事業所数・従業員数の平成22年から平成25年までの変化を確認して、生産性の変化について確認してみたいと思います。

 

 まず、事業所数の変化を見てみます。好調業種である輸送用機械の事業所数は、震災前の平成22年と平成25年を比較すると▲2.4%の減少で、石油石炭製品の事業所数が0.0%の横ばいとなりました。しかし、従業者数では、輸送用機械の従業員数が+5.5%の増加、石油石炭製品に従業員数も+5.6%の増加となっています。好調業種でも、さすがに事業所数は増えていませんが、従業員数は5%以上増加していました。これらの業種では事業拠点の集約化が進んだという評価も可能かもしれません。

 一方、不調業種である電子部品デバイスの事業所数は▲9.5%の減少、情報通信機械▲16.5%の減少で、ともに減少となっています。従業者数でも、電子部品デバイスの従業員数が▲18.2%減少で、情報通信機械の従業員数も▲14.2%減少となっていました。不調業種では、事業所数、従業員数ともに減少しており、事業拠点が縮小しています。

  さらに、従業員一人当たり、一事業所当たりの製造品出荷額で、被災地域の注目業種の生産性の変化を見てみます。

 好調業種である輸送用機械器具では、平成25年の1事業所あたり出荷額が22年比+47.6%、従業員1人あたり出荷額が同+36.5%と、どちらも震災前を大きく上回っています。また、同じ好調業種の石油・石炭製品では、もともと1人・1事業所あたりの出荷額が他業種よりも高かった、つまり資本集約的な業種だったのですが、1事業所あたり出荷額が同+24.9%、1人あたり出荷額が同+18.3%と、さらに数字を伸ばしていました。

 
 不調業種である電子部品・デバイス・電子回路では、従業員1人あたり出荷額が22年比で▲3.0%の 微減で、1事業所あたり出荷額は同▲12.3%の減少となっています。同じく情報通信機械器具では、従業員1人あたり出荷額は同▲4.9%の減少、1事業所あたり出荷額も同▲2.4%と、どちらも震災前より減少していました。

 

 まとめれば、震災前後で好調業種では、事業所の生産性も労働生産性も上昇していおり、特に輸送用機械の生産性の上昇が顕著です。他方、不調業種ではどちらの生産性も低下しており、特に電子部品・デバイス・電子回路の事業所の生産性の低下幅が大きくなっています。

 こういった生産性の変化が、震災後の復興プロセスにおける業種ごとの好不調を分けたという面もあるのかも知れません。

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◎スライド資料

http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini024j.pdf