経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

「かつてない高水準の在庫率となった軽乗用車!」…ところで在庫率指数って?

 軽乗用車の在庫率指数が、かつてない高水準で推移しています。

 さて、在庫率指数が高いというのは、何を表すのでしょうか。

 出荷指数であれば指数が高いことは出荷量が多いことを意味しますし、在庫指数であれば在庫量が多いことを意味します。これらは、指数の大きさ=ボリュームの大きさなので、イメージしやすいかと思います。

 

 では、在庫率指数では?

 

 鉱工業指数の作業においては、在庫率指数は率指数で、

  (求めたい月の在庫率:求めたい月の在庫÷求めたい月の出荷)

        ÷(基準時の在庫率:基準時在庫÷基準時出荷)

こういった計算で求めます。

 個々の品目の在庫率同士で、さらに全体の在庫率指数を作っているのです。

 ですので、在庫率指数は一般的に言われる在庫率とは違います。

 とはいえ、率、すなわち分数は、分子が大きくなったり、分母が小さくなったりすれば、元が分数である在庫率指数も値が大きくなるので、在庫が増えるor出荷が減るといった一般的な在庫率が大きくなるのと同じ状況で、在庫率指数は高くなります。

 

 最初の質問ですが「在庫率指数が高いというのは、何を表すのか」。

 これはずばり、在庫と出荷の需給のバランスが変動していることを表します。

 例えば1年前に比べて在庫率指数が低ければ、毎月の出荷量にみあった生産を行い、在庫量を調整した結果、受給バランスが改善されたとみることができますし、反対に在庫率指数が高ければ、出荷量以上に生産した結果、在庫を抱えて需給バランスが悪化している可能性があります(「かき入れ時を控えた作り溜め」等で在庫が増えて在庫率が上がる場合もありますので、常に需給バランスの悪化とは言えませんが)。

 

 最初に言ったように、在庫指数はボリューム。そして、在庫率指数は生産、出荷と在庫の需給バランス。

 

 以上を踏まえて、軽乗用車と建設用クレーンの在庫指数と在庫率指数を見てみると、建設用クレーンは、在庫指数が100から150と常に高めの水準で推移していますが、在庫率指数は50から70のレンジで推移と、需給バランスは一定の状態を保っていることがみてとれます。

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 一方、軽乗用車は、消費税引き上げ前は在庫指数が低下傾向で推移していたのが、引き上げと同時に水準が跳ね上がり、同時に在庫率指数も跳ね上がっていることから、増税を機に需給バランスが崩れて在庫が積み上がり、まだその状態を解消できていないことがみてとれます。

 直感的にイメージしづらい在庫率指数ですが、生産や出荷と在庫の関係を見る上では有用な指標です。

 在庫指数はボリューム、在庫率指数は需給バランス。こう思って指数をみると、新しい世界が見える…かもしれません。

 

 在庫率指数を含む「鉱工業指数」については、次のような参考資料がありますので、ご利用ください。

 

◎「鉱工業指数のしくみと見方」

(在庫率指数については、P23です)

 

◎マンガ

 

◎パンフレット

 

◎最新データ集