経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

物価上昇の影響が残り、財の消費行動の回復は鈍いが、観光関連などのサービスの消費行動は堅調に推移している

 昨年の消費増税前後の消費者物価の上昇と、小売業を含む個人向けサービスビジネスの活動量の関係を見てみると、増税後の税込みの物価上昇率の上昇とともに、それらの活動のレベルが低下するという相関(マイナスの相関係数)が見てとれます。

 下の図で広義対個人サービス活動指数と消費者物価指数との関係を確認すると、実際の活動量と物価の前年同月比の散布状況(つまり、理論的は個人サービスについて消費者の需要関数と事業者の供給関数が交差する値)が右肩下がりの分布となっており、「物価が上がれば、需要量が減る」という需要関数を見いだすことができます。

 そして、実際の価格と活動量の値は、その想定される需要線の周りに散らばっていることが確認できます。
 

 

 増税後の実際の値は、需要線に沿った分布は維持していますが、明らかに左上方にシフトしています。増税や円安等の供給側のコスト上昇要因によって供給線が左上方に押し上げれた結果、需要線と供給線の交点として実現する個人サービスの活動量を減退させたと考えられます。

 つまり、個人向けの小売業やサービスの供給活動が低下している背景には、価格上昇が影響している可能性が高いということです。

 そして、この傾向は、特に小売業、個人の財の消費において、いまだに継続しているものと思われます。

 

 今年に入っても、“小売業”の活動量は、いまだに前年水準から3%以上低下しています。

 一方で、“小売業を除いた個人サービス”の活動量は、前年比でプラスに転じています。
 “小売業”では、増税などによる財の価格上昇の影響が続いている一方で、それ以外の個人向けサービスにおいてはその影響が無くなりつつあることが感じられデータとなっている。

 

 財とサービスの対比が、顕著なのは、「観光関連」と「耐久消費財」です。

 今年に入っての“観光関連産業”は、増税前の平成25年12月や26年1月の水準を超えており、消費増税による落ち込みを乗り越えて、上方トレンドで推移しています。
 一方、消費増税後、落ち込みが目立った“耐久消費財”の総供給は、増税前の住宅特需で盛り上がっていたとはいえ、平成25年9月という1年以上前の水準にすら戻っていない状況です。

 輸入品(テレビなどは日本ブランド品も基本的には輸入品です)を含めた、耐久消費財に対する需要はまだまだ弱い水準です。

 

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