経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

低下が続く日本の産業の生産波及力(延長産業連関表分析その6)

経済解析室では、5年ごとに作成される基本表とは別に、ほぼ毎年(簡易)延長産業連関表を作成公表しています。

最新版である、平成24年の(簡易)延長産業連関表で様々な分析が可能となります(その6)。

産業連関表を用いると、ある産業における生産活動によって、他の産業の生産活動をどの程度増加させるかということを分析できます。これを波及分析といいます。

平成24年延長表の生産波及を平成23年と比較してみると、部門的に鉄鋼や自動車関連の波及力が高いという点に変化はありませんが、全体波及力は、23年の方が0.02ほど高く、1.9283倍となっています。

f:id:keizaikaisekiroom:20141223162309p:plain

平成24年に向けて生産波及力が低下したということは、中間投入が減って、生産波及経路が細くなっているということを意味します。
0.02という数値は小さく見えますが、1兆円の生産額増があった場合の効果では、200億円の差が出るということです。
産業連関表でみる固定価額の平成24年の国内総生産額は900兆円ですので、1800億円分の生産波及が減少しているという計算になります。小数点2位以下の変動とは言っても、日本全体でみるとその影響は無視できないのです。

マクロでは中間投入比率自体は余り変わっていないところではあります。
しかし、平成24年は平成23年との比較で、農林水産業や建設業の生産額の伸び率寄与度が高かったのですが、この部門の生産波及力は低下していると同時に、水準としても平均の1.9倍と比較して、農林水産業は1.6倍、建設業も1.8倍と低くなっています。
このような生産波及力の小さい部門が24年の生産額の23年からの増加を担っていたという面があることには注意が必要かと思います。

さらに平成17年と比較してみると、17年当時の全体波及力は、1.9963倍と、ほぼ2倍に近い値になっていました。生産波及力の低下は、

1) 各産業の中間投入率の低下(付加価値率の上昇
2)サービス化の進展(サービス部門の生産波及が小さい)

などによって生じます。
平成17年との比較では、中間投入におけるサービスの比率が上昇している訳ではありませんので、全体として中間投入率が低下していることによって、日本産業の全体波及力が小さくなっていることになります。

経済解析室の作成している平成24年の延長産業連関表の説明スライドと解説をスライドシェアにアップしておりますので、ご活用ください。

◎スライド資料


◎解説資料

 


解説資料については、こちらからもダウンロード可能です。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kanieio/result/result_13/pdf/H24H23reportj.pdf