経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

国内向け出荷は、平成29年5月に前月比マイナス3.9%と2か月ぶりの低下。指数値は3月の水準に戻っている。設備投資向け財の内需(国内向け出荷)は堅調だが、乗用車を中心とする耐久消費財の内需は、4月から反動減

5月の国内向け出荷は、4月の反動から大きく低下

平成29年5月の国内向け出荷は、前月比マイナス3.9%と2か月ぶりの低下となりました。鉱工業出荷全体の前月比マイナス2.8%低下に対し、この国内向け出荷が大きな低下要因となりました(輸出向け出荷は前月比1.0%上昇)。5月は、4月に大きな上昇を見せた内需が反転低下となりました。4月の国内向け出荷の上昇幅が大きかったので、反動的な低下が避けがたかったということかと思います。

5月の国内向け出荷の指数値97.3は、大きめの前月比低下幅だったとはいえ、今年3月の96.9よりは、若干高い水準を維持しています。

また、国内向け出荷指数の後方3か月移動平均の推移を見ると、昨年末から今年第1四半期までの横ばい推移が、4月に水準を一段階上昇させて、再び巡航速度に移転したというグラフの動きになっています。基本的には、4月と5月の動きは均してみる方が良さそうです。

4月と5月の国内向け出荷の平均は99.3で、今年第1四半期の97.5よりは大分高い水準ですので、6月に極端な低下がなければ、第2四半期の国内向け出荷も前期比プラスを維持出来そうです。

鉱工業用生産財、耐久消費財の需要低下が、国内向け出荷の低下要因

国内向け出荷の需要先別用途別分類(財別分類)では、企業の中間投入となる5月の生産財の国内向け出荷はマイナスで、特に製造業の中間投入となる鉱工業用生産財は前月比マイナス4.7%と大きく低下しました。

最終需要財の国内向け出荷も前月比マイナス3.9%低下となりました。最終需要財の国内向け出荷は、4月に3か月ぶりに前月比5.5%と大きめの前月比上昇を見せましたが、その勢いは続かず、反動減となりました。最終需要財の中では、耐久消費財が前月比マイナス9.5%低下と、4月の上昇幅とほぼ同じ低下幅となり、最も大きな低下寄与となりました。

ただ、最終需要財のうち、企業の設備投資に充当される「輸送機械を除く資本財」の国内向け出荷は、前月比2.5%と2か月連続の上昇です。設備投資用途の機械類の国内向け出荷は、昨年11月まで上り調子でしたが、その後、昨年12月から4か月連続の前月比低下でした。その後、4月、5月と連続上昇となり、実は今年5月の指数値116.9は、近時のピークである昨年11月と同じ値です。6月以降、このレベルを超えていくのか、あるいは、ここから再び低下していくのか興味深いところです。

ちなみに、6月実施の製造工業生産予測調査では、輸送機械を除く資本財の生産計画は、6月、7月ともに前月を上回るというものになっています。両月とも、前年同月実績を2割上回る生産計画であり、「強気」の計画と言えるかと思います。

内需バランスが大きく崩れ、設備投資向けの財のみが伸びていた

国内向け出荷の財別分類指数の前月比を、4月と5月で比較するために、レーダーチャート化してみると、耐久消費財の国内向け出荷の勢いが特に悪いことが分かります。

4月の国内向け出荷では、輸送機械を除く資本財や耐久消費財の伸びが大きく、五角形が右上方に広がるような形になっていました。5月では、耐久消費財の前月比低下幅が特に大きく、五角形の形状を大きく歪ませています。あわせて、鉱工業用生産財や建設財も低下しており、内需バランスを示す五角形が縮小しています。

その中で、5月の輸送機械を除く資本財だけが前月比プラスとなって、さらにその形状のバランスを崩しています。5月の鉱工業製品に対する内需は、設備投資需要の「一本足」ということになります。

業種的には、輸送機械工業の低下が響いた

大きく低下した5月の国内向け出荷の業種別状況をみると、輸送機械工業の低下寄与が1位、2位は鉄鋼業(下のグラフでは「その他」に含まれます)、3位が電子部品・デバイス工業となっています。2位、3位とは言っても、この2業種と輸送機械工業の寄与幅には大きな差があり、5月の国内向け出荷低下は、輸送機械工業の低下によるものと言って良いと思います。

輸送機械工業では、乗用車(完成車)、自動車部品の出荷が大きく低下寄与となっています。また、船舶・同機関の国内向け出荷も2か月連続で大きく低下しています(3月の国内向け出荷の3分の1以下に縮小)。

鉄鋼業では、熱間圧延鋼材や冷間仕上鋼材の出荷が低下していました。自動車や機械類の部材であり、鉱工業生産の低下の影響が出ているものと思われます。

電子部品・デバイス工業については、液晶素子を中心とする電子部品の低下寄与が目立ちますが、電子部品・デバイス工業を電子部品と二分する集積回路の国内向け出荷は、前月比で大きく上昇しています。メモリなどは品薄が続いているなど需要が旺盛なようで、電子部品・デバイス工業の国内向け出荷が全体的に悪かったということではないようです。

 

 

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5月の鉱工業出荷の前月比マイナス2.8%低下は、4月の反動と思われる内需(国内向け出荷)の大幅低下によるもの。外需(輸出向け出荷)は3か月ぶりの上昇。内需は輸送機械工業が悪く、外需ははん用・生産用・業務用機械工業が良かった。

鉱工業出荷は、4月からの反動で前月比低下、国内向け出荷の低下の影響

 平成29年5月の鉱工業出荷は前月比マイナス2.8%と2か月ぶりの低下となりました。内需(国内向け出荷)が前月比マイナス3.9%と2か月ぶりの低下でした。一方、外需(輸出向け出荷)は前月比1.0%と、小さめの上昇幅ではありましたが、3か月ぶりの上昇となりました。

 5月は国内向け出荷の大きな低下寄与が、鉱工業出荷の前月比低下につながっていますが、輸出向け出荷も3か月ぶりの前月比上昇としては、小さめの上昇幅に留まっていました。

 

 
 

内需低下には、輸送機械工業の寄与大

 大きく低下した5月の国内向け出荷の主要業種別状況をみると、輸送機械工業の低下寄与が1位、電子部品・デバイス工業の低下寄与が2位となっています。1位、2位とは言っても、輸送機械工業と電子部品・デバイス工業の寄与幅には大きな差があり、5月の国内向け出荷低下は、輸送機械工業の低下によるものと言って良いと思います。

 

 

 小さめの上昇幅とは言え、3か月ぶりに前月比上昇となった5月の輸出向け出荷の業種別の状況をみると、はん用・生産用・業務用機械工業、輸送機械工業が大きめの上昇寄与をみせ、輸出向け出荷のけん引役でした。

 他方、化学工業(除く医薬品)が大きめの低下寄与を見せていました。輸送機械工業については、4月の船待ちによる低下からの回復などもあって上昇となったほか、はん用・生産用・業務用機械工業は3か月ぶりの輸出向け出荷前月比上昇となり、指数値も120台を突破し、高い水準となっています。

 

主要業種ごとに内外需の動向がバラバラ

 5月の主要4業種の内外需の動向を比較すると、業種ごとに差があります。

 5月の鉱工業出荷低下への寄与が大きかった、輸送機械工業は、輸出向け出荷は前月比で若干のプラスでしたが、国内向け出荷が大きく前月比低下で、外需が若干のプラス、内需は不振です。

 逆に化学工業(除く医薬品)は出荷全体の低下幅は小さいのですが、内需好調、外需がマイナスでした。

 電子部品・デバイス工業では、5月の出荷全体の前月比低下は、内需のマイナスによるものですが、外需も前月比マイナスとなっています。

 翻って、出荷全体としては前月比横ばいだった、はん用・生産用・業務用機械工業では、内需が若干の低下だった一方で、外需が3か月ぶりに上昇となっています。

 鉱工業出荷全体では、内需たる国内向け出荷が大きく低下し、外需たる輸出向け出荷が若干に上昇とはなっていますが、主要4業種の中でも、内外需の関係は区々となっていました。

 

 

 なお、主要4業種の輸出向け出荷における、米国向け出荷、中国向け出荷の寄与をみると、押し並べて米国向け出荷の上昇寄与が大きく、中国向け出荷は、化学工業(除く医薬品)を除き低下寄与となっています。

 各業種とも、米国からの需要が輸出向け出荷をけん引していたようです。また、主要業種の中国向け出荷は前月比低下ですが、中国向け出荷全体は前月比プラスで、鉄鋼業等の業種の中国向け出荷が前月比上昇となっていました。

 

 

外需(輸出向け出荷)はバランスのとれた伸びを見せた

 国内向け出荷、輸出向け出荷の需要先別分類である財別分類指数の前月比のバランスをみるべくレーダーチャートにしてみます。

 すると、5月の財別国内向け出荷の前月比のチャートは、設備投資向けである「輸送機械を除く資本財」が前月比プラスと伸びている一方、耐久消費財の低下幅が大きく、五角形の形状が、歪んだ形になっています。

 一方、5月の輸出向け出荷の前月比のチャートでは、非耐久消費財の前月比プラスが突出して高いという状況ではありますが、全体としてみるとバランスの取れた五角形になっています。

 

 内外需ともに設備投資向け財の出荷が旺盛ですが、耐久消費財の動きの差が内外需の差となって表れたようです。

 

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平成29年5月の鉱工業(生産・出荷・在庫)指数の動向(速報)