経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

ASEAN、中国向け出荷は伸びていたが、欧米向け出荷の2か月連続低下のため、輸出向け出荷は前月比低下。乗用車の輸出向け出荷が悪かったが、設備投資向け財の輸出向け出荷は健闘。

 平成29年1月の輸出向け出荷は、指数値100.4、前月比マイナス6.3%低下と3か月ぶりの低下となりました。鉱工業出荷全体の前月比0.3%上昇に対して、輸出向け出荷は大きな低下寄与となりました(国内向け出荷は前月比1.0%上昇)。

 とはいえ、昨年11月、12月の上昇幅が大きかったことから、1月の輸出向け指数100.4は、昨年平均の指数値98.9と比べてまだ高い水準を維持しています。逆に言えば、この2か月の輸出向け出荷の伸びが大きかったことから、今年1月は、反動的に低下したものと評価できます。

 

 

生産財の低下寄与が大きかった1月の輸出向け出荷

 輸出向け出荷の需要先別用途別分類(財別分類)では、生産財の輸出向け出荷は前月比マイナス6.6%低下、最終需要財も前月比マイナス7.1%低下でした。輸出向け出荷の低下に対しては、生産財の低下寄与が多少大きくなっていました(生産財の寄与:最終需要財の寄与=3:2)。

 最終需要財の中では、全ての財分類が前月比低下となりましたが、低下寄与の大きさという面では、2か月ぶりに前月比低下となった耐久消費財の低下寄与が大きくなっており、他の財の2倍以上の大きさとなっています。

この耐久消費財の輸出向け出荷の低下は、一重に乗用車・二輪車の輸出向け出荷の低下によるものでした(前月比1割以上の低下)。このため、輸送機械を除く資本財の輸出向け出荷は、3か月連続の前月比上昇を維持していました‘前月比1.0%上昇)。

 最終需要財の輸出向け出荷に占めるウェイトが最も大きい資本財も3か月ぶりに輸出向け出荷を前月比低下させました(前月比マイナス2.1%低下)。昨年平均に比べれば、まだ高い輸出向け出荷の水準ではありますが、昨年初頭に比べると、大分指数水準が低下している点が気になります。

 生産財の輸出向け出荷では、自動車部品、電子部品、非鉄金属材料(地金)などの低下によって、3か月ぶりに輸出向け出荷が前月比低下となりました。

 

 
 

輸送機械工業、特に乗用車の輸出向け出荷が低下

 1月の輸出向け出荷の業種別の動きをみると、14業種中11業種が前月比低下でした。特に、低下寄与が大きかったのは、輸送機械工業(前月比マイナス8.8%低下)でした。この輸送機械工業の3分の1から4分の1程の寄与度合いで、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、非鉄金属工業、化学工業が続いています。

 輸送機械工業では、やはり乗用車の輸出が一服しており、前月比低下となりました。

 

 昨年末から水準が高くなっていた電子部品・デバイス工業の輸出向け出荷も3か月ぶりに前月比マイナス6.7%低下となりました。しかし、1月の指数水準は昨年平均や昨年第4四半期と比べても高く、水準的には高い状態をこの2か月維持していました。

 

 

 他方、石油・石炭製品工業、はん用・生産用・業務用機械工業、鉄鋼業の3業種の輸出向け出荷は、前月比上昇となりました。特に、資本財全体の輸出向け出荷が前月比低下でも、輸送機械を除く資本財の輸出向け出荷が前月比上昇でしたが、製造業の設備投資向けの財が多いはん用・生産用・業務用機械工業の輸出向け出荷も、引き続き前月比上昇を維持しています。同じ機械工業でも不調だった輸送機械、電子部品・デバイスとはん用・生産用・業務用機械工業で外需の動きに差が見られた今年の1月でした。

 

欧米向けとともに、アジア向け出荷も大きく低下した1月

 1月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、昨年12月と同様に、欧米向けの出荷指数は、前月比マイナスでした。ただ同時に、12月上昇寄与だった中国、ASEANを中心とするアジア向けの出荷指数も、前月比マイナスとなりました。

 アメリカ向け出荷は前月比マイナス5.8%低下、欧州向け出荷も前月比マイナス7.6%低下と、ともに低下寄与です。

 アジア向けでは、ASEAN向け出荷が前月比マイナス2.9%低下、さらに、中国向けの出荷は前月比マイナス15.4%低下と大きな低下幅を見せました。低下寄与でも、輸出向け出荷全体の低下の半分以上を中国向け出荷の低下寄与が占めており、1月の輸出向け出荷を押し下げました。

 とは言え、やはり欧米向けの出荷の2か月連続の停滞が響いていることも確かです。

 

 

http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20170316_2.png

国内向け出荷は、平成29年1月に前月比1.0%上昇。消費財の国内向け出荷は3か月ぶりに前月比上昇。消費財の国内市場への総供給も2か月連続の前月比上昇。

 平成29年1月の国内向け出荷は、前月比1.0%上昇と3か月ぶりの上昇となりました。鉱工業出荷全体の前月比0.3%上昇に対して、国内向け出荷が上昇要因となりました(輸出向け出荷は前月比マイナス6.3%低下)。昨年の12月の国内向け出荷の前月比低下幅が大きめでしたので、先行きが危ぶまれましたが、年明け1月は前月比上昇に復帰しました。

 

消費財の国内向け出荷の上昇寄与が大きかった

 国内向け出荷の需要先別用途別分類(財別分類)では、1月の生産財の国内向け出荷は前月比0.3%と2か月連続上昇でした。生産財の国内向け出荷は、昨年11月に前月比低下となりましたが、それを除くと、平成28年6月から前月比上昇が続いています。特に、製造業の原材料や部品となる鉱工業用生産財は、鉱工業生産の好調を反映して、平成28年6月から8か月連続で国内向け出荷上昇が続いています(昨年5月の前月比低下を挟んで、昨年3月から上昇が続いていた)。

 

 最終需要財の国内向け出荷は前月比2.6%上昇でした。1月の国内向け出荷の前月比上昇は、最終需要財の上昇寄与によるものでした(生産財の上昇寄与の約10倍)。

 最終需要財の中では、耐久消費財を除く各財の前月比がプラスでしたが、特に上昇寄与が大きかったのは資本財で、2か月ぶりに前月比3.4%上昇となりました。資本財の中では、輸送用の上昇寄与が大きくなっていますが、これは乗用車ではなくて、船舶や産業用車両、鉄道車両などの出荷増によるものでした。

 

 消費財の国内向け出荷は3か月ぶりに前月比上昇で、1.0%上昇となりました。食料品の出荷が伸びた非耐久消費財は4か月ぶりに前月比上昇となりましたが、耐久消費財は3か月連続の低下でした。家事用、冷暖房用、テレビ等の教養・娯楽用の耐久消費財の国内向け出荷は前月比上昇だったのですが、乗用車・二輪車の国内向け出荷が大きく下がり、耐久消費財全体の国内向け出荷指数は低下が続いています。

 
 
 

電子部品・デバイス工業と電気機械工業の上昇寄与が大きい

 1月の国内向け出荷の業種別の動きをみると、14業種中8業種が前月比上昇でした。

 1月の国内向け出荷の前月比上昇に対し上昇寄与が特に大きかったのは、電子部品・デバイス工業(前月比7.4%上昇)、電気機械工業(前月比5.5%上昇)でした。電子部品・デバイス工業では、液晶素子などの電子部品や半導体部品の国内向け出荷が好調でした。

 また、電気機械工業では、民生用電気機械とともに、工場等の電気設備である静止電気機器などの国内向け出荷が好調でした。他方、石油・石炭製品工業や化学工業の国内向け出荷が低下寄与の大きい業種でした。石油製品や化粧品の国内向け出荷が低下していました。

 

 
 

消費財の国内市場への総供給が2か月連続上昇

 1月の国内向け出荷は前月比上昇だった訳ですが、1月の日本市場への総供給指数も前月比1.8%と2か月ぶりの上昇でした。国産品供給もプラスですが、輸入品供給も前月比2.6%上昇でした。輸入で上昇したのは、鉱業や情報通信機械工業です。

 1月の鉱業の輸入品供給は2か月ぶりの上昇でしたが、原油の輸入品供給は前月比低下しており、石炭や天然ガスの輸入が増えていました。

 情報通信機械工業の輸入品供給は2か月連続の上昇で、1月は携帯電話や民生用電子機器の輸入品供給が増加していました。情報通信機械工業の輸入品供給の上昇は、教養・娯楽用の耐久消費財の輸入品供給の上昇と軌を一にするものです。

 消費財の総供給は2か月連続の上昇となっており、昨年10月以来の高い水準になっています。指数値96.1も、平成28年平均の94.4、昨年第4四半期の95.8よりも高い水準となっています。

 

 
 

http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20170315_1.png

平成29年1月の国内向け出荷は、3か月ぶりに前月比1.0%上昇。逆に、輸出向け出荷は、3か月ぶりに前月比マイナス6.3%低下。欧米向け出荷のみならず、アジア向け出荷も振るわず。

1月は国内向け出荷が、前月比上昇寄与

 平成29年1月の鉱工業出荷は、指数値で99.2、前月比0.3%上昇と2か月ぶりの前月比上昇でした。

 鉱工業出荷のうち、国内向け出荷は、指数値98.1、前月比1.0%上昇と3か月ぶりの上昇となりました。輸出向け出荷は、指数値100.4、前月比マイナス6.3%低下と3か月ぶりの低下となりました。今年1月は、12月の輸出の増加から反動的に大きな低下が見られましたが、国内向け出荷が堅調で、鉱工業出荷全体をプラスに持ち上げました。

 

 

 

国内向け出荷では、資本財、電子部品・デバイス工業が好調

 1月の国内向け出荷の前月比上昇への寄与を財(需要先用途)別でみると、事業の中間投入となる生産財の寄与が小さく、主に最終需要財の寄与によって全体が上昇していました。特に、設備投資などに向けられる資本財の寄与が大きくなっていました。消費財の国内向け出荷も3か月ぶりに前月比1.0%上昇となりました。

 

 業種別の状況では、14業種中8業種が前月比上昇でした。特に上昇寄与が大きかったのは、電子部品・デバイス工業、電気機械工業でした。電子部品・デバイス工業では、液晶素子や半導体部品の国内向け出荷が伸び、電気機械工業では民生用電気機械とともに、工場等の電気設備が伸びていました。

 

輸出向け出荷では、生産財輸送機械工業の低下寄与が大きい

 1月の輸出向け出荷の前月比低下への寄与を財(需要先用途)別でみると、事業の中間投入となる生産財の低下寄与が大きくなっていました。

 とはいえ、最終需要財の低下寄与の1.5倍ほどですので、財分類でみると、全体的に輸出向け出荷は低調だったということになります。最終需要財の中では、乗用車が不振だった耐久消費財の輸出向け出荷の低下寄与が大きくなっていました。

 

 業種別の状況では、14業種中11業種が前月比低下でした。特に低下寄与が大きかったのは、輸送機械工業でした。ここにも1月の乗用車の輸出不振の影響が見て取れます。

 これに、電子部品・デバイス工業、電気機械工業等の業種が、3分の1程度の低下寄与で続いています。ただ、機械工業の中では、伸び率は小さいのですが、はん用・生産用・業務用機械工業の輸出向け出荷は前月比プラスで、これで3か月連続の前月比上昇となっています。

 

欧米向け、アジア向けともに出荷が前月比低下

 1月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、昨年12月と同様に、欧米向けの出荷指数は、前月比マイナスでした。ただ同時に、12月上昇寄与だった中国、ASEANを中心とするアジア向けの出荷指数も、前月比マイナスとなりました。

 アメリカ向け出荷は前月比マイナス5.8%低下、欧州向け出荷も前月比マイナス7.6%低下と、ともに低下寄与です。

 アジア向けでは、ASEAN向け出荷が前月比マイナス2.9%低下、さらに、中国向けの出荷は前月比マイナス15.4%低下と大きな低下幅を見せました。低下寄与でも、輸出向け出荷全体の低下の半分以上を中国向け出荷の低下寄与が占めており、1月の輸出向け出荷を押し下げました。

 とは言え、やはり欧米向けの出荷の2か月連続の停滞が響いていることも確かです。

 

 
 

http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20170315_1.png