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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

生活関連型サービスでは、内訳2業種が共に前月比上昇。インフラ型では「金融業,保険業」が、財の取引仲介型では、卸売業の低下寄与が大きくなっていた。

 第3次産業活動指数の大分類11業種のうち、多様なものが含まれる事業者向け関連サービスを除く10業種を、その形態・性質で3種類に分類して、その推移を見ることができます。

1月のインフラ型サービス活動

 まず「インフラ型サービス活動指数」で、「金融業,保険業」「情報通信業」「運輸業,郵便業」「電気・ガス・熱供給・水道業」が含まれます。1月の「インフラ型」指数をみると、情報通信業、「電気・ガス・熱供給・水道業」が前月比上昇となったものの、「金融業,保険業」、「運輸業,郵便業」が前月比低下となりました。

 特に、資金決済、金融商品取引が、昨年12月からの反動減という側面もあって、不調だった「金融業,保険業」の低下が響き、「インフラ型」指数は、前月比マイナス0.1%低下と2か月連続の前月比低下となっています。ただ、その低下幅は小さくなっており、ほぼ横ばいということができると思います。

 

1月の財の取引仲介型サービス活動

 次に「財の取引仲介型サービス活動指数」で、不動産業、物品賃貸業、小売業、卸売業が含まれます。1月の「財の取引仲介型」指数をみると、小売業、不動産業、物品賃貸業が前月比上昇だったものの、卸売業が大きく低下寄与となり、前月比下マイナス0.7%低下となりました。

 構成4業種のうち、3業種が前月比上昇であったので、財の取引仲介型サービスが全体的に不調だったということではありませんが、昨年12月に続いて、企業間の原材料取引が低下した卸売業の低下によって、財の取引仲介サービスとしては低下となりました。

 

1月の生活関連型サービス活動

 そして3番目が「生活関連型サービス活動指数」で、生活娯楽関連サービスと「医療,福祉」の2業種からなっています。

 1月は、「医療,福祉」、生活娯楽関連サービスがともに前月比で上昇し、「生活関連型」指数全体としても前月比0.7%上昇と、2か月連続の前月比上昇となりました。

 上昇寄与の大部分が「医療,福祉」によるものなので、「家計の財布のひもが緩んだ」とまでは言い切れませんが、昨年12月に比較的大きめの上昇を見せた生活娯楽関連サービスが反動的な低下を見せる事なく、2か月連続の上昇となっているので、今後の推移を見守りたいと思います。

 

生活関連型が2か月連続上昇で、いよいよ「回復」か?

 1月の形態別指数では、「インフラ型」「財の取引仲介型」の各指数とも、それらを構成する特定の業種、インフラ型では「金融業,保険業」、財の取引仲介型では卸売業の低下寄与が大きく、前月比マイナスとなりました。

 やはり、企業間の財、金融の取引が低調になっていました。他方、「生活関連型」は、内訳業種がともに前月比増加となり、昨年12月に3か月ぶりに前月比上昇となったこの指数が、2か月連続前月比上昇となっています。これが、個人、家計のサービス消費の「回復」を示すものなのか、今後のデータで見極めていくことが必要かと思います。

 

 

 

◎結果概要のページ

www.meti.go.jp

 

◎図表集

 

 

◎データ冊子

 

 

◎ナレーション解説

 

 

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昨年末から対個人サービスは2か月連続前月比上昇、一方、昨年のサービス産業を支えた対事業所サービスは2か月連続の前月比低下。方向感の「入れ替わり」が生じ始めている。

 第3次産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。

 

2か月連続で対個人は上昇、対事業所は低下

 1月は、対個人サービス活動指数は、指数値105.1、前月比0.2%上昇と2か月連続の前月比上昇でした。対個人サービス活動指数が105台になるのは、昨年3月の105.2以来、10か月ぶりです。

 実は、対個人サービスが105台となるのは、平成26年の1月と3月を除くと、消費税率引上げ後のレベルが高くなった月に限られます。具体的には、対個人サービスの活動が活発だった平成27年の1、2、6、8、10月の5回と、平成28年の2、3月です。

 平成28年初頭は比較的高いレベルにあった対個人サービスは、昨年半ばにはレベルを下げており、「個人消費不振」の様相でしたが、そこから徐々に回復基調で進み、今年の1月には、昨年初頭の高いレベルに戻ってきたということになります。

 

 他方、1月の対事業所サービス活動指数は、指数値103.0、前月比マイナス0.3%低下と2か月連続の前月比低下となりました。

 昨年の第2四半期から3四半期連続で前期比上昇が続いており、第3次産業総合の平成28年前年比0.7%上昇も、ほぼ全て対事業所サービスの上昇寄与によるものでした。前年同月比は、1月も引き続き22か月連続のプラスなので、対事業所サービスの指数水準が直ちに低下しているということではありません。

 しかし、対事業所サービスの指数の推移は、昨年末から若干勢いがなくなってきており、年明けも2か月連続の前月比低下となっています。

製造業依存型対事業所サービスが低下

 各サービスの内訳を見てみます。

 昨年の12月に続き、1月のサービス産業全体の押し下げ要因となった対事業所サービスでは、「金融業,保険業」の内訳系列である「流通業務」(株取引高)、全銀システム取扱高(資金決済)の低下寄与、そして卸売業の内訳系列である各種商品卸売業、鉱物・金属材料卸売業、化学製品卸売業の低下寄与が大きくなっています。

 今年の1月には、鉱工業生産も前月比低下、生産財の出荷も前月比低下となっており、財取引、特に企業間の中間投入財の取引が低調だったことが分かります。また、流通業務や全銀システム取扱高といった金融取引に関連する系列の低下寄与も大きく、財のみならず、資金・金融商品の取引も、12月からの反動減の要素もあって、少し低調となっていたことが分かります。

 

 対事業所サービスは、そのサービスの相手先が主に製造業なのか、非製造業なのかに応じて、製造業依存型と非製造業依存型に分類できます。

 1月の非製造業依存型サービスは、指数値107.0、前月比1.3%上昇と2か月ぶりの前月比上昇で、製造業依存型サービスは、指数値94.9、前月比マイナス1.5%低下と2か月連続の前月比低下でした。

 1月の対事業所サービス全体は2か月連続の前月比低下だった訳ですが、それは需要先でいうと製造業のサービス需要が低下したことによるということになります。

 これは先にも述べたように、1月の鉱工業生産が低下したことから致し方ないと言えるでしょう。他方、サービス産業のサービス需要は堅調だったということになります。

 製造業向けのサービスということでは、業種としては前月比上昇となっている事業者向け関連サービスの内訳系列である「機械設計業」が、前月比マイナス9.4%低下となりました。1月の機械設計業は、対事業所サービスに対する低下寄与では下位5番目で、大きな低下寄与となっていました。昨年12月に大きく上昇しているので、その反動もあるかとは思われますが、機械設計業を含む業種大分類である事業者向け関連サービス、そして中分類である技術サービス業がともに前月比上昇であるにもかかわらず、機械設計業が前月比低下となっているのは目立ちます。

 

 投資向けサービスも前月比マイナス0.2%低下で、2か月連続の低下となっており、極端に高い指数値を見せた昨年4月から月々の変動もありながら低下傾向で推移しています。機械設計の中には、設備設計ではなくて、最終製品の設計も含まれるので、全てが投資向けではありませんが、事業所向けのサービス、なかんずく、投資向けのサービスが低下してきており、気になるところです。

対個人では、「医療,福祉」とスポーツ観戦が上昇要因

 1月に2か月連続上昇となった対個人サービスには、1月の上昇寄与の大きかった業種である「医療,福祉」の影響が大きいのですが、個別系列では、スポーツ観戦(プロスポーツ)が盛り上がっていたほか、観光関連のホテル、機械器具小売業や近畿圏のマンション分譲といった高額な買い物、「食堂,レストラン,専門店」や飲食料品小売業といった飲食関連が、上昇寄与の上位に並んでいます。

 観光関連産業活動指数は前月比0.5%上昇、3か月連続上昇で、飲食関連産業活動指数も前月比1.0%上昇、3か月ぶり上昇と、個人のサービス消費が盛り上がっていました。

 なお、対個人サービスも、生活必需的な性格の強い「非選択的個人向けサービス」と選択性が強く、上下動し易い「し好的個人向けサービス」に分けられます。

 1月の非選択的個人向けサービスは、前月比0.4%上昇と2か月ぶりの前月比上昇、し好的個人向けサービスは、前月比0.3%上昇と3か月連続の前月比上昇となりました。昨年は、消費不振が喧伝されていましたが、1月の対個人サービスをみると、スポーツ観戦や観光、一部の高額消費、外食などの面で家計のサービス消費が上昇していました。

 他方、昨年のサービス産業を支えていた対事業所サービスが、鉱工業生産の低下とともに、製造業向けを中心に低下しており、対個人と対事業所で対照的な動きを見せました。

 

 

 

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平成29年1月のサービス産業では、2か月連続前月比低下の卸売業の低下幅が大きく、「薄く広く」前月比上昇した各業種の上昇分を相殺してしまい、サービス産業全体としては、前月比横ばいに。

 平成29年1月の第3次産業活動指数は、昨年12月の前月比低下から、横ばいとなりましたが、11大分類業種のうち、8業種が前月比上昇、3業種が前月比低下でした。

 

 

「医療,福祉」が上昇。技術サービス、広告も前月比上昇

 前月比上昇業種8業種のうち、影響度が大きいのが上位2業種の「医療,福祉」、事業者向け関連サービスでした。

 やはり、インフルエンザの流行などもあり、医療機関の活動が上昇したようです。1月の「医療,福祉」は2か月ぶりの前月比1.2%上昇で、指数値は117.0と、指数値が急騰した昨年3月以来の高水準となっており、安定した上昇基調が続いています。

 

 

 事業者向け関連サービスについては、3か月連続の上昇で、前月比1.8%上昇でした。

 技術サービス業の内訳である土木・建築サービスが前月比16.9%上昇と大きく上昇しました。指数値も112.3は、昨年の第4四半期に比べると高い水準ではありますが、昨年第2、第3四半期に比べると若干低い水準であり、絶好調とは言えないと思います。昨年12月の指数値が100を割り込む低い水準となっているので、そこからの上昇ということで、その前月比上昇幅は少し割り引く必要があると思います。

 また、広告業の内訳である「他に分類されない広告」が前月比18.1%上昇と、その上昇寄与も大きくなっています。広告業においては、従来型のメディア広告である4媒体広告が、その内訳系列とともに、指数値100を割り込んでいる一方で、それ以外の分野の多くは、順調に指数レベルを上げています。特に、インターネット広告と並んで、1月の上昇寄与が大きい「他に分類されない広告」(イベントや店頭プロモーション、映像などのクリエイティブの製作費など)の指数レベルは150を超えており、規模的にはテレビ広告の指数よりもかなり大きくなっています(テレビ広告指数90.0×ウェイト20.3=1827、他に分類されない広告指数156.0×ウェイト19.7=3073.2)。

 

 

 1月の上昇業種の2番手グループでは、内訳の情報サービス業が伸びた情報通信業(前月比0.8%上昇、2か月ぶり)、機械器具小売業が伸びた小売業(前月比0.8%上昇、3か月ぶり)、暖冬の影響で12月の指数値が非常に低くなっており、そこからの反動増があった電気・ガス・熱供給・水道業(前月比2.7%上昇、2か月ぶり)、そして近畿圏のマンション分譲や土地取引が比較的好調だった不動産業などが、薄く広く上昇寄与となりました。

 

卸売業が2か月連続低下で、全体を押し下げ

 さて、1月の低下3業種、卸売業、「金融業,保険業」、そして「運輸業,郵便業」のうち、低下寄与が最も大きかった業種は、卸売業でした。

 1月の卸売業の90.9、前月比マイナス3.0%低下で、これで2か月連続の前月比低下となっています。昨年12月の前月比低下幅もマイナス2.1%低下と大きめであり、大きめの前月比低下が続いています。内訳としては、各種商品卸売業の低下が大きかったほか、鉱物・金属材料卸売業、化学製品卸売業が、昨年の第4四半期から揃って低下傾向となっており、比較的堅調だった卸売業の重石となっていました。

 結果的に昨年の第4四半期には前期比もマイナスとなって方向感も良くない方向となっていました。昨年12月に続いて、今年1月は前年同月比もマイナス2.1%低下となり、水準的にも平成28年平均に比べて低くなっています。

 卸売業以外の2業種の低下寄与は、相対的に限定的でした。

 

 

 第3次産業活動指数では、サービス産業として卸売業、小売業も含めて集計しています。それら財の取引から派生するサービスである卸小売業の活動指数を除外した、いわば「純粋サービス産業」活動指数も計算していますが、この指数は前月比0.2%上昇と3か月連続の上昇となりました。

 卸小売を含んだ総合指数が指数値104を挟んだ狭いレンジの動きに終始していることと比べ、この「純粋サービス産業」活動指数は緩やかな上昇傾向を持続しており、大分「おもむき」が異なってきています。

 

薄く広い上昇と、卸売業の大きな低下により、全体横ばい

 1月のサービス産業の業種別動静をみると、サービス業全体が前月比横ばいとなりましたが、全11業種のうち8業種が上昇となっており、その中でも上位2業種の上昇寄与で全上昇寄与の半分程度を占めています。2番手集団4業種の寄与も同程度でした。ということは、1月の上昇業種の影響度は、薄く広く分布していたということになります。

 他方、1月の低下業種では、卸売業の低下寄与が圧倒的に大きくなっていました。要すれば、多くの業種の「薄い」上昇寄与を、卸売業の大きめの前月比低下が相殺してしまい、サービス産業全体としては、前月比横ばいとなるという構図だったようです。

 

 
 

 

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