経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

米国における日系非製造業現地法人の実像説明その2;米国非製造業現地法人の約半数882社が卸売業。売上高では7割、従業者数では5割が卸売業。この卸売業現地法人の3分の1は、総合商社の子会社と孫会社。

米国非製造業現地法人の半数を占める卸売業

 米国の非製造業現地法人のデータを確認してみると、法人数は1,916社あり、1社当たりの事業規模が大きいということが分かりました。では、業種別に見ると、どのような特徴が見いだせるでしょうか。

 非製造業現地法人に占める卸売業の割合は、全地域平均で50%となり、卸売業だけで非製造業全体の半数を占めています。やはり、日系非製造業現地法人の多くは卸売業ということのようです。

 米国についてみると、非製造業現地法人1,916社のうち卸売業を営む法人が46%(882社)と最も多くを占めており、全地域平均と比べると若干低い割合とはなりますが、やはり米国の非製造業現地法人の半数近くが卸売業を営む法人となっています。

 米国の非製造業現地法人のうち卸売業に続いて割合が高いのが、サービス業24.2%、その他の非製造業9.2%、情報通信業7.5%となっており、これら4業種で非製造業の8割以上を占めています。

 

 

 米国の非製造業現地法人の売上高についてみると、全体55兆円のうち、卸売業が39兆円で70%とその多くを占めています。次いでサービス業11.9%、小売業7.5%となり2位以下の占める割合は小さく、更にこれら以外の業種が占める割合は、それぞれが5%以下とわずかなものとなっています。

 続いて従業者数についてみると、非製造業全体で20万人のうち、卸売業が52.1%(11万人)と半数以上を占め、次いで小売業17.0%、サービス業11.6%となり、この上位3業種で全体の8割以上を占めています。

 卸売業という性格上、売上規模が他の非製造業に比べると大きくなるのは当然という面もありますが、法人数、従業者数という面でみても、在米非製造業現地法人の半分が卸売業という構造となっています。

 

卸売業の多くは販社、その3分の1は総合商社の子会社・孫会社

 では法人数、売上高、従業者数で最も多くを占めている卸売業について、日本側の本社企業について確認してみましょう。

 卸売業を営む現地法人(全地域)の本社企業の業種をみると、3分の2弱は製造業です。そして3分の1が卸売業となっています。米国の卸売業現地法人の本社企業の業種をみると、全地域とほとんど変わらず、3分の2が製造業、3分の1が卸売業となっています。

 このことから米国の日系卸売業法人の多くは製造業メーカーの販社とみられます。

 また、米国に進出している総合商社ごとの在米子会社の状況と併せてみると、米国の日系卸売業のうち3分の1は総合商社の子会社または孫会社であることが推測されます。

 

 

 

◎ミニ経済分析のページ

米国における日系非製造業現地法人の実像;他地域の現地法人に比べて事業や投資の規模が大きい|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

 

 

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米国における日系非製造業現地法人の実像説明その1;在米の日系非製造業現地法人数は、2015年度末で1,916社。1社あたりの売上高は400億円を超え、全地域現地法人平均の3倍を超える規模と、事業規模がかなり大きい。

 日系現地法人は全地域で25,233社あり、このうちの56%となる14,153社が非製造業法人となっています。そして米国の日系現地法人は3,020社、そのうち63%となる1,916社が非製造業法人です。

 改めて、海外事業活動基本調査の2015年度実績集計を使って、米国の日系非製造業現地法人の実像についてデータを整理してみました。まずは、法人数など基本事項についてみてみましょう。

 

非製造業現地法人は1,916社、在米日系法人の6割以上

 包括的に日系の海外進出法人の実態を調査している海外事業活動基本調査で、米国の非製造業現地法人の存在を確認できるのは、1983年度分の調査で、年度末の法人数は618社と、さほど多くはありませんでした。

 そこからの非製造業現地法人数の推移をみると、今から30年ほど前の1987年度に1,000社を超え、2000年度には1,677社となり、その存在を最初に確認できる1983年度と比べると、17年間で2.7倍もの法人数となりました。

 しかしながら、翌2001年度には1,194社と前年度に比べてマイナス483社と大きな減少となりました。

 その後2002年度以降はわずかながら年々増加し、2012年度に1,800社を超え、2015年度には1,916社と、32年間で3.2倍の法人数となりました。

 また、在米日系現地法人のうち非製造業法人の割合は2008年度に6割を超えて以降、順調にその割合を高めています。

 

 

 これら非製造業現地法人の分布を州別にみると、最も多く立地しているのがカリフォルニアで全体の32%(606社)を占めています。次いでニューヨーク12%(234社)、イリノイ9%(175社)デラウエア7%(135社)と、その多くが沿岸地域や人口の多い大都市(イリノイ州のシカゴ、テキサス州のヒューストン、ダラス)に集中しています。また、製造業においてもカリフォルニアに17%(189社)と最も多く立地しています。

 

事業規模の大きい米国非製造業現地法人

 続いて、1社あたりの規模を世界平均と比べてみてみましょう。

 従業者数では米国非製造業現地法人は151人、世界平均では110人となり、米国非製造業現地法人が世界平均の約1.4倍と、あまり大きな差はありませんが米国非製造業現地法人がやや上回る規模となっています。

 次に売上高をみると、米国非製造業現地法人は410億円、世界平均では130億円と、米国非製造業現地法人は世界平均の3.1倍もの規模となっており、1社あたりの売上高規模はかなり大きいものとなっています。

 

 このように、従業者規模、売上高規模ともに世界平均を上回り、1社あたりの事業規模が大きいことが、米国の非製造業現地法人の特徴のひとつです。

 

 

 

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平成29年第1四半期産業動向;対事業所サービスが11期ぶりに前期比マイナス。これにより第3次産業活動指数も低下

 経済解析室で毎月作成している鉱工業指数や第3次産業活動指数などの経済指標は、平成29年第1四半期にどのような動きを見せていたのでしょうか。

 各指標の平成29年1-3月期の動きをグラフや表で表現したミニ経済分析「鉱工業指数と第3次産業活動指数からみた平成29年1-3月期の産業活動」をアップしています。この資料をつかって、今回は、平成29年第1四半期の第3次産業活動指数について、対個人/対事業所向けサービスの動向を確認してみます。

 

広義対事業所サービスの前期比が11期ぶりに低下

 サービス産業(第3次産業)活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けられます。

 平成29年1-3月期の広義対個人サービス活動指数は、前期比0.1%(指数値は104.8)とわずかに上昇しましたが、広義対事業所サービス活動指数は、前期比マイナス0.9%(指数値102.8)と、11期ぶりに低下しました。

 

 

製造業依存型サービス(特に卸売業)の低下が局面転換をも匂わせる

 対事業所サービスは、そのサービスの相手先が主に製造業であるのか、非製造業であるのかに応じて、製造業依存型と非製造業依存型に分類できます。

 非製造業依存型事業所向けサービスは、安定的な上昇基調が続いているものの、製造業依存型事業所向けサービスは、前期比マイナス3.6%と大幅に低下しました。

 

 

 対事業所向けサービス前期比への寄与でも、非製造業依存型が上昇に寄与しているものの、製造業依存型の低下寄与が大きく、全体の低下につながりました。

 

 

 背景には、鉱工業出荷指数の4期ぶりの微減があります。微減の主因は国内向け出荷で、広義対事業所向けサービスに属する各種の卸売業が低下する要因となりました。

 対事業所サービスへの低下寄与が大きい業種には、鉱物・金属材料卸売業、化学製品卸売業等の産業使用者向け卸売業が含まれており、在庫循環図上、29年1-3月期が在庫積み増し局面に差し掛かったことと併せると、製造業の局面転換をも匂わせる結果となっています。

 

し好的個人向けサービスの上昇が家計消費の好調を裏付ける

 対個人サービスは、生活必需的な性格の強い「非選択的個人向けサービス」と、選択性が強く上下動しやすい「し好的個人向けサービス」に分けられます。

 この1年、非選択的個人向けサービスは低下基調で、し好的個人向けサービスは上昇基調です。

 

 

 対個人サービス前期比への寄与を見ると、非選択的個人向けサービスが低下寄与ですが、し好的個人向けサービスの上昇寄与が大きく、全体では上昇です。この関係は平成28年4-6月期から4期続いており、29年1-3月期はその傾向がより強まっています。

 

 し好的個人向けサービスへの上昇寄与が大きい業種は、プロスポーツ(スポーツ系興行団)や食堂・レストラン・専門店等で、同時に観光関連や飲食関連の産業活動が上昇しており、家計消費に多少勢いがあったことを裏付けています。

 

 

 

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