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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年11月をピークに対事業所サービスは低下基調に局面転換。2月までで3か月連続の前月比低下。平成28年平均の水準を割り込んでいる。

 第3次産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。

 2月の対事業所サービス活動指数は、指数値102.4、前月比マイナス0.3%低下と3か月連続の前月比低下となりました。この102.4という指数レベルは、平成28年3月の102.2に次ぐ低いレベルに落ち込んでいます。四半期指数でみても、昨年第1四半期の指数が102.4であり、丁度一年前の指数水準に「戻っている」ことになります。

 うるう年効果があるとはいえ、前年同月比も23か月ぶりにマイナスとなり、グラフの形状からも一目瞭然、対事業所サービスの動きはこれまでとは異なるものとなっています。昨年末までの対事業所サービスは、消費税率引上げ後の大きな落ち込みからの回復過程にありましたが、今年に入って下げ基調となっていると言えるかと思います。

2月は、金融関係と情報サービスが低下要因

 対事業所サービスの内訳を見ると、ここのところ、サービス産業全体の押し下げ要因となっている対事業所サービスですが、2月の主な低下要因となっている内訳は、大きく金融関係と情報サービスに分けることができます。

 2月の対事業所サービスに最も大きな低下寄与を見せたのは、株式取引高である「流通業務」(前月比マイナス10.4%低下)でした。また、低下寄与5位には、資金決済サービスである「全銀システム取扱高」(前月比マイナス0.9%)が入っています。金融商品取引が不活発であったほか、卸売業の低下もありましたが、企業間の取引も弱いものだったということなのだと思います。

 もう一つの低下要因となった情報サービス関係ですが、まずゲームソフトを除くソフトウェア製品(前月比マイナス10.0%低下)と同時に、受注ソフトウェア(前月比マイナス1.1%低下)が大きなマイナス寄与を見せました。こういったソフトウェア開発だけでなく、システム等の管理受託やその他の情報処理・提供サービス業も前月比低下となっており、情報サービス業が全般的に低迷する結果となりました。

 金融業は、2か月連続の低下で、前年同月比もマイナスとなっており、昨年の第4四半期と比べても指数値が落ちてきている状態です。

 情報サービス業については、今年1月の指数レベルが非常に高い水準となっており、2月についてはその反動減分もあると解釈すべきかと思います。2月の水準自体は、昨年第4四半期よりも高い水準ですので、対事業所サービスの低下要因とはなりましたが、直ちに悪い状態になったということではないのではないかと思います。

 

 

サービス業向け、投資向けサービスは上昇

 対事業所サービスは、そのサービスの相手先が主に製造業なのか、非製造業なのかに応じて、製造業依存型と非製造業依存型に分類できます。

 2月の非製造業依存型サービスは、指数値106.8、前月比0.4%上昇と2か月連続の前月比上昇で、製造業依存型サービスは、指数値92.5、前月比マイナス0.9%低下と3か月連続の前月比低下でした。

 2月の対事業所サービス全体は3か月連続の前月比低下だった訳ですが、それは需要先でいうと製造業のサービス需要が低下したことによるということになります。これは2月の鉱工業生産が低下したことから致し方ないと言えるでしょう。他方、サービス産業のサービス需要は堅調だったということになります。

 ただ、投資向けサービス指数は、前月比1.7%上昇と3か月ぶりの前月比上昇でしたし、建設・研究開発といった広い意味での投資に関連する技術サービス業は2か月連続の上昇となっています。よって、製造業向けの対事業所サービスの中でも、投資に関連するサービスは、堅調な推移となっていました。

 

 

◎結果概要のページ

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◎データ冊子

 

◎ナレーション解説

 

 

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事業者向け関連サービス、小売業が上昇寄与、企業向け情報サービス業や卸売業といった企業向けサービスが低下寄与。寄与業種の内訳をみると、業種全体というよりは、ピンポイントの上昇/低下だった。

 平成29年2月の第3次産業活動指数は、3か月ぶりの前月比上昇となりましたが、11大分類業種のうち、4業種が前月比上昇、6業種が前月比低下、「医療,福祉」は前月比横ばいでした。全体として前月比上昇を確保した割には、上昇業種の数が少ないという印象です。

 

投資関連の事業者向け関連サービスと織物・衣服・身の回り品小売業が上昇

 前月比上昇業種4業種のうち、影響度が特に大きいのが事業者向け関連サービスです。寄与2位の小売業の影響度合いは、その4分の3程度となります。それに次ぐ生活娯楽関連サービスと「運輸業,郵便業」は、小売業の貢献度合いの半分程度と並んでいます。

技術サービス業が上昇傾向に

 2月の上昇寄与が特に大きかった事業者向け関連サービスについては、4か月連続の前月比上昇で、前月比1.5%上昇でした。事業者向け関連サービスは、平成28年を通して緩やかな上昇軌跡となっていますが、特に昨年の11月以降の上昇角が上向いています。

 この業種の2月の上昇を生み出しているのは、内訳の技術サービス業で、土木・建築サービス業と機械設計業の貢献が目立ちます。広い意味での投資向け(建設、研究開発)のサービスが、けん引役になっています。技術サービス業は、月々の変動が大きいのですが、1月の指数値110.2、2月の指数値111.9と、年明けは平成28年の後半と比べて高い水準になっています(同年第3四半期108.6、第4四半期104.7)。

 2月の事業者向け関連サービスの他の内訳系列全体の調子が良い訳ではありませんが、投資関連を中心とする技術サービス業の盛り上がりによって、平成22年以降では最も高い指数値107.7となっています(平成21年8月の107.9に次ぐ高水準)。

 

 

小売業や生活娯楽関連サービスでも、ピンポイントの上昇

 寄与2位の小売業は、前月比0.9%上昇、2か月連続の上昇でした。内訳業種のうち寄与が大きかったのは、その他の小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、燃料小売業でした。その一方、飲食料品小売業、自動車小売業、機械器具小売業は前月比マイナスとなっています。耐久消費財の動きは鈍かったようですが、春物衣料や季節商品は良かったようです。

 3位グループの生活娯楽関連サービスでは、長期低落傾向にある「パブレストラン,居酒屋」やファーストフード店の前月比上昇が見られた「飲食店,飲食サービス」が上昇寄与を見せました。

 また、旅行業のうち、日本人の国内旅行に関する代理店取扱高は前月比低下でしたが、日本人の海外旅行や海外からのお客様の取扱高の上昇がみられたほか、葬儀業の上昇もあった「その他の生活関連サービス業」も上昇寄与を見せました。全体的な上昇というよりは、ピンポイントで好調なサービスがあったということのようです。

企業向けの情報サービス業が大きく低下

 さて、2月の低下6業種の中では、情報通信業、卸売業、不動産業の低下寄与が残りの3業種に比べて大きくなっています。

 情報通信業において、受注ソフトやゲーム以外のソフトウェアプロダクトの低下が大きかったほか、テレビ向けの映像情報製作・配給業の低下も響きました。広告業において、テレビ広告も前月比マイナス2.5%低下となっており、2月はテレビ関係の調子が少し悪かったようです。

 卸売業では、建築材料,鉱物・金属材料等卸売業が全体を押し下げています。

 不動産業では、マンション分譲業の前月比低下が響きました。

 

卸小売を含む総合指数と含まない指数の差が拡大してきている

 第3次産業活動指数では、サービス産業として卸売業、小売業も含めて集計しています。それら財の取引から派生するサービスである卸小売業の活動指数を除外した、いわば「純粋サービス産業」活動指数も計算していますが、この指数は前月比0.7%上昇と6か月連続の上昇となりました。

 卸小売を含んだ総合指数が指数値104を挟んだ狭いレンジの動きに終始していることと比べ、この「純粋サービス産業」活動指数は緩やかな上昇傾向を持続しており、大分「おもむき」が異なってきています。また、2月の前月比はプラスの0.7%で、それ以前の5か月間の前月比伸び幅が大きくても0.2%だったことと比較すると、力強い上昇となっています。

 さらに、第3次産業活動指数総合と「純粋サービ産業」活動指数の指数差を見てみると、平成24年の消費税率引上げを画期として乖離が大きくなった乖離幅が、昨年末から広がり始めており、商業関係とそれ以外のサービスとの動きの違いが大きくなってきているようです。

 

 2月のサービス産業の業種別動静をみると、サービス業全体が前月比0.2%上昇となりましたが、全11業種のうち上昇業種となったのは4業種に留まり、低下業種の数の方が多くなっています。また、寄与の分布という意味では、上昇・低下ともに影響度合いの大きい業種に寄与が集まっていました。

 上昇寄与の大きい2業種は、ともに前月比連続上昇しており勢いがあるようです。他方、低下3業種のうち、情報通信業と不動産業は反動減的側面があり、卸売業は連続低下業種ということで勢いが弱くなっているようです。

 

 

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2月の第3次産業活動指数は、引き続き狭いレンジでの動き。ただ、その内訳の動きをみると、昨年までとは異なる動きが出てきている。

 平成29年2月の第3次産業活動指数総合は、季節調整済指数104.1、前月比0.2%上昇と、3か月ぶりの前月比上昇となりました。昨年6月の指数値が103.9となってから、104を挟んでの狭いレンジの動きが引き続き続いています。

 ただ、その内訳の動きをみると、昨年までとは異なる動きが出てきています。

対個人サービスは、前年水準を大きく上回るレベルへ

 第3次産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。

 2月は、対個人サービス活動指数は、指数値105.4、前月比0.5%上昇と2か月連続の前月比上昇でした。指数値105.4は、昨年3月以来の105台です。対個人サービス活動指数は、平成28年第1四半期こそ105.0だったのですが、第2四半期以降の3四半期間の指数レベルは、104.6または104.7と少し低下しました。

 特に、昨年9月から12月までの4か月間の毎月の指数は104.7と横ばい推移でした。しかし、年明け1月に4か月ぶりに前月比上昇となって、この2月には、昨年後半の停滞から少し「抜けた」感じとなりました。

 

 

対事業所サービスは、昨年11月をピークに低下方向へ

 他方、2月の対事業所サービス活動指数は、指数値102.4、前月比マイナス0.3%低下と3か月連続の前月比低下となりました。指数値102.4は、平成28年平均の103.1からすると低い水準となっており、昨年3月の102.2に近い、1年ぶりの低い指数値となっています。

 平成28年の対事業所サービスの前年比は、プラス1.4%で、対個人サービスが前年比横ばいですから、平成28年のサービス産業全体の前年比0.7%上昇は、対事業所サービスの伸びによるものでした。しかし、昨年末12月から3か月連続の前月比低下、指数水準も大分低くなり、様変わりです。

 

 

基調判断は、「横ばい」で据え置き

 このような各指数の動きを踏まえ、平成29年2月の第3次産業活動の基調判断については、「横ばい」で据え置きとしたいと思います。

 昨年は、消費低迷と広く言われ、対個人サービス活動指数は、停滞した動きとなっていました。しかし、対事業所サービス活動が活発な動きをみせ、サービス産業の下支え役であり、けん引役ともなっていました。

 しかし、グラフの動きをみると一目瞭然ですが、対個人サービス活動指数は横ばいレンジの動きを脱し、上向き方向になった一方、対事業所サービス活動指数は明瞭な低下方向への動きをみせています。

 平成29年に入って、サービス産業の先導役が、対事業所サービスから、対個人サービスにバトンタッチされる動きを見せています。

 

 

 

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